培養細胞においてはプロテアソーム阻害により小胞体ストレスマーカーであるCHOPやXBP-1の発現が亢進し、ユビキチン化蛋白の蓄積が起こっていた。この際ケラチン8/18(K8/18)のリン酸化を認め、細胞にはMallory-Denk体(MDB)類似の封入体が形成されていた。そしてこれらの細胞ではオートファジーが亢進していた。またこれらの細胞ではJNKやp38のリン酸化を伴っていた。また、プロテアソーム阻害に分子標的薬であるソラフェニブを併用するとネクローシスによると思われる細胞死が増強した。3MAやbeclinのsi-RNAにてオートファジーを抑制すると細胞死が著明に増加した。また、小胞体ストレスは酸化ストレスと関連していた。 DDC投与マウスはMDB研究のモデル動物であるが、本モデルにおいても小胞体ストレスが関与しており、オートファジーも亢進していた。このモデルをラパマイシンやトレハロースでオートファジーを亢進させるとMDBは減少した。 ヒトにおいては非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、C型慢性肝炎(CHC)、B型慢性肝炎(CHB)ならびにウイルソン病の肝生検組織において酸化ストレス、 異常蛋白の蓄積、MDB、オートファジー、細胞増殖を検討した。NAFLDとHCVならびにウイルソン病においては酸化ストレスが亢進しており、オートファジーならびにMDB形成が細胞保護に働いていると考えられた。またMDB形成にはK8とK18の発現パターンが重要であると考えられた。 様々な肝疾患において、その病態へ肝細胞での小胞体ストレスとそれに伴う酸化ストレスが関与し、それに対する反応としてオートファジーの亢進とMDB形成が働いていると考えられた。
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