研究課題/領域番号 |
23591009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20396948)
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研究分担者 |
佐々木 隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10569106)
木暮 宏史 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (60568921)
山本 夏代 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40599578)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 膵癌 |
研究概要 |
膵がん細胞の悪性度に関わるepigeneticな遺伝子制御異常を探索する目的でヒストン修飾酵素群のshRNAパネルを作成、膵がん細胞株でその安定発現株を樹立して表現型の変化をスクリーニングしてきた。その結果、ノックダウンにて膵がん細胞の浸潤能、腫瘍形成能を明らかに増加させるヒストン修飾分子KMXを同定した。KMXノックダウン膵がん細胞ではin vitroでの遊走能や浸潤能 が増加した。またin vivoの検討でも皮下移植されたノックダウン細胞はコントロールでは見られない著明な腹膜播種や血性腹水をきたし 、膵への同所移植では肝・肺転移を引き起こした。さらにはコントロール細胞においては見られなかった単一細胞からのsphere形成能を獲得していた。希釈系列の細胞群を用いたin vivo腫瘍形成能においても明らかなその増加を示していた。これらの表現型は二つの異なるノックダウン配列から樹立された細胞株に共通してみられており、KMXに特異的なものと考えられる。今後さらに複数の消化器がん細胞株においても同様のノックダウン細胞を樹立し、これらの表現型がどこまで共通に再現されるかどうかも検討する。KMXノックダウンによって獲得された形質に関与する分子群を抽出するため、これまでにKMXノックダウン細胞とランダムコントロール細胞との間で、網羅的な遺伝子発現プロファイルを行ってきた。その発現アレイデータを基にしたGSEA解析によると、ノックダウン細胞では数種類の転写因子群の下流遺伝子セットが高いNESと有意差をもって誘導されていた。KMXノックダウン細胞の表現型に関与する転写因子の同定をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、順調に研究データが得られているため
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今後の研究の推進方策 |
網羅的発現アレイによる表現型関連転写因子の同定行う。抽出された転写因子をKMXノックダウン細胞(Puromycin選別)に、レトロウイルスで過剰発現(Hygromycin選別)した株を樹立し、KMXノックダウンでみられた表現型がその過剰発現によりレスキューされる転写因子を抽出する。次にその転写因子のノックダウン細胞を樹立し、KMXノックダウン細胞の表現型が再現されるかどうかを検討する。これらのことは複数の種類の細胞株を用いて検討し、再現性を確認する。また抽出された転写因子のプロモーター領域のヒストン修飾プロファイルについて抗ヒストン修飾抗体を用いてChIP assayによって検討する。また上記の転写因子がKMXの直接標的であるかどうかを明らかにするために、ChIP assayによってKMXがその遺伝子プロモーターに結合するかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、網羅的解析のためのマイクロアレイや、ChIPのための抗体など、消耗品の購入に充てる予定である。
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