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2012 年度 実施状況報告書

膵がん細胞の悪性度を制御するヒストン修飾経路の同定と標的治療への戦略

研究課題

研究課題/領域番号 23591009
研究機関東京大学

研究代表者

立石 敬介  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20396948)

研究分担者 佐々木 隆  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10569106)
木暮 宏史  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60568921)
山本 夏代  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40599578)
キーワード膵がん
研究概要

膵がん細胞の悪性度に関わるepigenetic関連遺伝子を探索する目的でさまざまなヒストン修飾酵素群をコードする遺伝子群のshRNAパネルを作成、膵がん細胞株でその安定発現株を樹立して表現型の変化をスクリーニングしてきた。その結果、ノックダウンにて膵がん細胞の浸潤能、腫瘍形成能を増加させるヒストン修飾分子KMXを同定した。KMXノックダウン膵がん細胞ではin vitroでの遊走能や浸潤能が増加する。またin vivoの検討でも皮下移植されたノックダウン細胞はコントロールでは見られない著明な腹膜播種や血性腹水をきたし 、膵への同所移植では肝・肺転移を引き起こした。複数の膵がん細胞でこの表現型は再現されたが、一方他の消化器癌である胃癌や大腸癌細胞ではKMXノックダウンの影響は必ずしも見られないことから、KMXの機能は膵がん特異的であることが明らかとなった。
膵がん細胞においてKMXの下流の分子群を抽出するため、KMXノックダウン細胞とランダムコントロール細胞との間で、網羅的な遺伝子発現プロファイルを行った。その発現アレイデータを基にしたGSEA解析によると、ノックダウン細胞ではある転写因子の下流遺伝子セットが高いNESと有意差をもって誘導されていた。実際この転写因子を膵がん細胞においてノックダウンしたところKMXノックダウンと同様にin vitroでの遊走能・浸潤能の増加およびin vivoの転移能増強が認められたことから、この分子がKMXの下流で膵癌細胞の悪性度にかかわる可能性が考えられた。今後はまずこの転写因子がKMXの下流であるかどうかを確認するため、クロマチン免疫沈降などを行なう予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記のとおり、順調に研究データが得られ、前年度からも進捗が得られているため。

今後の研究の推進方策

まずは、KMXの下流遺伝子なおかつKMXノックダウンによる表現型変化の責任遺伝子候補として抽出された、転写因子のプロモーター領域のヒストン修飾プロファイルにつき、抗ヒストン修飾抗体を用いてクロマチン免疫沈降(ChIP) assayによって検討する。また同時にKMXがそのプロモーターに結合するかどうかについても検証する。一方でKMXおよび上記の転写因子について、ヒトの膵腫瘍組織でどのような発現パターンを示すかについても、正常膵上皮および前がん病変であるPanINや膵癌組織を用いて免疫染色などで検討し、両者の発現状態の相関の有無についても調べる。

次年度の研究費の使用計画

主としてクロマチン免疫沈降のための抗体やヒト膵腫瘍組織検体の染色などに用いる試薬など、消耗品の購入に充てる予定である。また引き続きマウスを用いた実験を行うため、マウス購入費などにも支出する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] rlotinib prolongs survival in pancreatic cancer by blocking gemcitabine-induced MAPK signals.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyabayashi K, Ijichi H, Mohri D, Tada M, Yamamoto K, Asaoka Y, Ikenoue T, Tateishi K, Nakai Y, Isayama H, Morishita Y, Omata M, Moses HL, Koike K.
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 73 ページ: 2221-34

    • DOI

      23378339

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of 5-hydroxymethylcytosine is accompanied with malignant cellular transformation.2012

    • 著者名/発表者名
      Kudo Y, Tateishi K, Yamamoto K, Yamamoto S, Asaoka Y, Ijichi H, Nagae G, Yoshida H, Aburatani H, Koike K.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 103 ページ: 670-6

    • DOI

      22320381

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Different subtypes of intraductal papillary mucinous neoplasm in the pancreas have distinct pathways to pancreatic cancer progression.2012

    • 著者名/発表者名
      Mohri D, Asaoka Y, Ijichi H, Miyabayashi K, Kudo Y, Seto M, Ohta M, Tada M, Tanaka Y, Ikenoue T, Tateishi K, Isayama H, Kanai F, Fukushima N, Tada M, Kawabe T, Omata M, Koike K.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol

      巻: 47 ページ: 203-13

    • DOI

      22041919

    • 査読あり
  • [学会発表] 悪性形質転換におけるヒドロキシメチル化シトシンの低下2012

    • 著者名/発表者名
      工藤洋太郎、立石敬介、小池和彦
    • 学会等名
      日本エピジェネテクス研究会年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120514-20120515
  • [図書] 良性胆道腫瘍2012

    • 著者名/発表者名
      立石敬介
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      西村書店

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公開日: 2014-07-24  

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