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2013 年度 実績報告書

膵がん細胞の悪性度を制御するヒストン修飾経路の同定と標的治療への戦略

研究課題

研究課題/領域番号 23591009
研究機関東京大学

研究代表者

立石 敬介  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)

研究分担者 佐々木 隆  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10569106)
木暮 宏史  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60568921)
山本 夏代  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40599578)
キーワードヒストン修飾
研究概要

膵がん細胞の悪性度に関わるepigenetic関連遺伝子を探索する目的でさまざまなヒストン修飾酵素群をコードする遺伝子群のshRNAパネルを作成、膵がん細胞株でその安定発現株を樹立して表現型の変化をスクリーニングしてきた。その結果、ノックダウンにて膵がん細胞の浸潤能、腫瘍形成能を増加させるヒストン修飾分子KDM6を同定した。KDM6ノックダウン膵がん細胞ではin vitroでの遊走能や浸潤能が増加する。またin vivoの検討でも皮下移植されたノックダウン細胞はコントロールでは見られない著明な腹膜播種や血性腹水をきたし 、膵への同所移植では肝・肺転移を引き起こした。複数の膵がん細胞でこの表現型は再現されたが、一方他の消化器癌である胃癌や大腸癌細胞ではKDM6ノックダウンの影響は必ずしも見られないことから、膵がん特異的なKDM6の作用が示唆された。膵がん細胞においてKDM6の下流の分子群を抽出するため、KDM6ノックダウン細胞とランダムコントロール細胞との間で、網羅的な遺伝子発現プロファイルを行った。その発現アレイデータを基にしたGSEA解析によると、ノックダウン細胞では転写因子C/EBPの下流遺伝子セットが高いNESと有意差をもって誘導されていた。実際C/EBPを膵がん細胞においてノックダウンしたところKDM6ノックダウンと同様にin vitroでの遊走能・浸潤能の増加およびin vivoの転移能増強が認められたことから、C/EBPがKDM6の下流で膵癌細胞の悪性度にかかわる可能性が考えられた。C/EBPがKDM6の下流であるかを確認するため、クロマチン免疫沈降などを行なったところ、そのプロモーター領域への結合が確認され、同時にヒストン修飾状態の変化も認められた。今回の研究により、ヒストン修飾異常が膵がんの生物学的特性に与える影響とその分子機序の一端を明らかにした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Histone demethylase KDM4C regulates sphere formation by mediating the cross talk between Wnt and Notch pathways in colonic cancer cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto S, Tateishi K, Kudo Y, Yamamoto K, Isagawa T, Nagae G, Nakatsuka T, Asaoka Y, Ijichi H, Hirata Y, Otsuka M, Ikenoue T, Aburatani H, Omata M, Koike K.
    • 雑誌名

      Carcinogenesis

      巻: 10 ページ: 2380-8

    • DOI

      10.1093/carcin/bgt174

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Erlotinib prolongs survival in pancreatic cancer by blocking gemcitabine-induced MAPK signals.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyabayashi K, Ijichi H, Mohri D, Tada M, Yamamoto K, Asaoka Y, Ikenoue T, Tateishi K, Nakai Y, Isayama H, Morishita Y, Omata M, Moses HL, Koike K.
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 73 ページ: 2221-34

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-12-1453.

    • 査読あり
  • [学会発表] Contribution of TET1 to malignant characteristics in digestive cancer cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Kudo, K. Tateishi, T. Ikenoue, K. Yamamoto, G. Nagae, M. Yonezawa, M. Seki, K. Shirai, H. Aburatani, K. Koike
    • 学会等名
      Cell symposia “Cancer Epigenomics”
    • 発表場所
      Spain, Sitges
    • 年月日
      20131006-20131008
  • [学会発表] KDM4C regulates sphere formation by mediating the crosstalk between Wnt and Notch pathways in colonic cancer cells.2013

    • 著者名/発表者名
      S. Yamamoto, K. Tateishi, Y. Kudo, K. Yamamoto, T. Isagawa, G. Nagae, H. Aburatani, K. Koike
    • 学会等名
      Cell symposia “Cancer Epigenomics”
    • 発表場所
      Spain, Sitges
    • 年月日
      20131006-20131008
  • [学会発表] JHDM3C regulates sphere formation by mediating the crosstalk between Wnt and Notch pathways

    • 著者名/発表者名
      Shinzo Yamamoto, Keisuke Tateishi, Yotaro Kudo, Keisuke Yamamoto, Takayuki Isagawa, Genta Nagae, Takuma Nakatsuka, Yoshinari Asaoka, Hideaki Ijichi, Masao Omata, Hiroyuki Aburatani, and Kazuhiko Koike
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜

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公開日: 2015-05-28  

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