研究課題
膵嚢胞性疾患であるIPMNには組織亜型が存在し、それぞれ悪性度及び発がん形態に違いがある。よって亜型を鑑別する遺伝子マーカーの確立は膵嚢胞性発がんの予防・早期発見に有用な情報をもたらす。本研究では膵がん細胞の包括的ゲノム解析により見出した染色体異常・コピーナンバー異常をIPMNにも応用する。癌細胞のゲノムでは、特定の遺伝子領域で増幅や欠失が起こることが知られている。近年、大規模SNPタイピングを目的として開発された高密度オリゴヌクレオチドアレイが、染色体コピー数変化およびLOHを同時に解析できるということがわかった。そこで、当研究室ではこのアレイを用いて膵癌細胞株25種類のゲノム異常の網羅的解析を行ってきた。本研究ではLaser Micro Dissection Systemを活用し、gastric typeとintestinal type などのIPMNの組織亜型に特有に関連する遺伝増幅および欠失、LOHの有無について明らかにする。これまで、25例のIPMNについてKras, Braf, PIK3CAの変異と、p16, smad4の欠失、p53蓄積などについて検討を行ってきた。Kras変異はgastric-typeに多く、PIK3CA変異がintestinalの一例のみに認められた。近年IPMNにてその異常が報告されたGNAS遺伝子についても検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
上記のように、IPMN症例25例につき、Laser microdissectionを行い、DNAを抽出しえている。IPMNにて手術が行われた症例に対し、倫理委員会での承認を基に、血清、膵液、IPMN部・非癌部の組織、さらに存在すれば癌部の組織を取得してきた。さらにこれらの患者の臨床情報については個人情報保護を遵守しつつ詳細な情報を記録するデータベースを構築してきた。
Laser Microdissection Systemを活用し、gastric typeとintestinal type などのIPMNの組織亜型に特有に関連する遺伝増幅および欠失、LOHの有無について検討してきた。これまで、25例のIPMNについてKras, Braf, PIK3CAの変異と、p16, smad4の欠失、p53蓄積などについて検討を行ってきた。今後さらに症例数を増やしていく予定である。またさらにGNAS遺伝子の変異についても検討を行っており、他の遺伝子異常との相関についても解析中である。
Laser Microdissection Systemを用いた遺伝子解析についての試薬類、臨床検体での発現解析のためのRTPCRや組織化学染色のための物品など、主として消耗品の購入に使用する予定である。
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