研究課題
膵嚢胞性疾患である膵管内乳頭状腫瘍IPMNには組織亜型が存在し、それぞれ悪性度及び発がん形態に違いがある。よって亜型を鑑別する遺伝子マーカーの確立は膵嚢胞性発がんの予防・早期発見に有用な情報をもたらす。臨床形態的にIPMNは主膵管型と分枝型に分類され、またIPMN の組織亜型は4種あり、大部分がgastric typeとintestinal type に分類される。これまでの検討で、主膵管型IPMNを多く認めるMUC2陽性intestinal type IPMNでは、通常型膵癌と比較し、Kras変異が少ないことがわかっており、異なる発癌経路の関与が疑われる。我々はこのintestinal typeのIPMNでは、頻度は低いながら、通常型膵癌ではほとんど認めないPIK3CAの活性化変異を認めることを見出し、報告した(J. Gastroenterol. 2012 47(2):203-13)。さらに、膵がん細胞株およびヒト膵がん検体を用いた検討で、遺伝子増幅および欠失について報告した(Oncology. 2008;75(1-2):102-12.)。増幅が認められた遺伝子のうち、そのノックダウン実験の結果から膵がん細胞において上皮間葉転換を促進する分子を見出した。今後は、この分子をノックダウンした膵がん細胞を用いて上皮間葉転換を誘導する分子機構を明らかにし、膵がんの生物学的特性およびIPMNの悪性化進展における関与などについても臨床検体を用いて検討する予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
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