研究課題
自己免疫性膵炎において、涙腺・唾液腺病変合併例は非合併例と比較して活動性の高い病態を示す。この合併症を誘発する遺伝的要因を検討するためにAffymetrix社のHuman Mapping 500K SNPsセットを用いて遺伝子タイピング(genome-wide association study:GWAS)を行った自己免疫性膵炎症例を対象に、涙腺・唾液腺病変合併例群と非合併例群間からアリル頻度が有意に異なるSNPsを抽出し、合併症に関連する候補遺伝子を推定した。さらに、候補遺伝子内に新たにSNPsを設けてTaqManによるSNPタイピングを行いGWASで得られた結果を評価した。GWASにおいてP<0.0001以下で有意なSNPを示す候補遺伝子は10種類検出された。その中で、染色体2q33.3位にあるKLF7遺伝子、6p25.3位にあるLOC101928923遺伝子、11p14.1位にあるMPPED2遺伝子について、合併症発症との関連性を確認したところ、各遺伝子内に設定したSNPsのアリル頻度は両群間で有意な相違を示し、涙腺・唾液腺病変合併症に関わる遺伝子であることが示唆された。転写因子であるKruppel-like factor family (KLF1~KLF17)は、本来細胞の分化や成長に重要な役割を果たしている。KLF7遺伝子は広範囲なヒト組織中に発現しており、特に神経新生制御に重要な機能を果たしているとの報告があるが、タイプ2糖尿病発症に関わるとの報告もある。また、この遺伝子の発現は脂肪細胞生成に抑制的に機能し、脂肪細胞機能と関わりをもつタイプ2糖尿病の感受性に影響していることが示唆された。涙腺・唾液腺合併に負の相関を示したLOC101928923遺伝子は、いまだ機能不明であるが、non-coding RNA遺伝子として多くの生体内作用に影響を及ぼしている。
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