研究課題
熱ストレスタンパク(HSP)はタンパクのfoldingを制御する分子シャペロン機能を有することが知られているが、そのうちHSP27は膵癌をはじめ各種固形癌で過剰発現を認め、治療抵抗性や予後に関連することが報告されている。我々はこれまでに膵癌細胞株において、膵癌化学療法の標準的薬剤であるGemcitabine(GEM)によるアポトーシスの誘導にはHSP27のリン酸化が重要な役割を果たしていることを報告し、さらに変異HSP27プラスミドの作成と膵癌細胞(Panc1)におけるその機能解析により、総HSP27ではなく、リン酸化HSP27(P-HSP27)の発現量がGEM感受性を決定する因子であることを見出した。さらに、HSP27およびP-HSPの膵癌組織における発現レベルとその臨床的意義について検討するため、膵癌診断時に超音波内視鏡ガイド下吸引針生検(EUS-FNA)によって得られた病理検体を用いて、HSP27およびP-HSP発現と病理組織学的悪性度、臨床的悪性度、化学療法(GEM)に対する反応性との相関について検討したところ、HSP27発現と組織学的悪性度(分化度)、臨床病期(遠隔転移の有無)、化学療法(GEM)に対する反応性、予後(生存期間)との間に関連性はみられなかったが、P-HSPについては遠隔転移のない群では有る群よりも有意にP-HSP27の発現レベルが高く、また、P-HSP27高発現群では低発現群よりも有意に生存期間が長かった。すなわち、P-HSP27の発現と膵癌の臨床的悪性度には逆相関がみられ、EUS-FNAによって得られた生検検体中のP-HSP27発現を評価することにより、膵癌の予後が予測できる可能性が示唆された。なお、今回の検討では、HSP27あるいはP-HSP27が化学療法(GEM)の効果を予測する因子になりうるという結果は得られなかった。
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