研究課題/領域番号 |
23591017
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岡崎 和一 関西医科大学, 医学部, 教授 (70145126)
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研究分担者 |
西尾 彰功 関西医科大学, 医学部, 准教授 (50362463)
内田 一茂 関西医科大学, 医学部, 講師 (40411516)
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キーワード | IgG4関連疾患 / 自己免疫性膵炎 / IgG4 / 制御性T細胞 / 制御性B細胞 / 自然免疫 |
研究概要 |
わが国より発信された新しい疾患概念である自己免疫性膵炎(AIP)の病態と発症機序を解明することを目的として、患者および動物モデルを対象に発症とIgG4産生制御における制御性T細胞(Treg)、制御性B細胞(Breg)と自然免疫の役割について検討した。 特にIgG4産生制御では、TregとICOS分子の関連性とBregと共に、免疫制御機能を有するCD163+ M2単球(Mo)/マクロファージ(Mφ)、immunoglobulin-like transcript(ILT)-2+/ILT-3+ Mo/Mφ、paired immunoglobulin-like receptor (PIR)-B+ Mo/Mφにおける各種tolllikereceptor(TLRs)とIL-10分泌との関連性について検討した。本研究では自己免疫性膵炎(AIP)の発症機序とIgG4産生制御における機序を明らかにすることを目的に、 (1) 抗原特異的メモリーTregとその誘導因子であるICOS分子発現との関連、(2) Breg、(3)自然免疫担当細胞であるMo・Mφで抑制機能を有するM2-Mo/Mφ、PIR-B+(mice), ILT-2+/ILT-3+(human) Mo/Mφ/DCにおける各種TLRsの発現とIgG4産生能について、臨床例および動物モデルを用いた免疫・分子生物学的解析を行った。更に、膵癌でもIgG4高値例やIgG4陽性細胞が浸潤することより、膵癌症例でも検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIP 60例、アルコール性膵炎30例、特発性膵炎30例、PSC20例、健常人30名について、末梢血中のICOS+ Treg、M1-/M2-Mo, ILT-2+/ILT-3+Mo、Bregフローサイトメトリーにより解析し、各疾患患者末梢血におけるICOS陽性Treg、Bregと自然免疫系細胞の関連性を検討した。その結果、IgG4産生制御では、TregとIL-10発現およびICOS分子の関連性を明らかにでき、成果を学会発表と論文発表できた。さらに、Bregとの関連に関しては、新たにBregにCD19+CD24hiCD38hi BregsとCD19+CD24hiCD27hi Bregsの2亜型があり、それぞれ、コントロール群と疾患群で有意差が認められた。現在、症例数を増やしてほぼ確認できたので、論文を作成予定である。さらに自然免疫系についても、免疫制御機能を有するCD163+ M2単球(Mo)/マクロファージ(Mφ)における各種toll-like receptor(TLRs)を検討したところ、疾患群ではコントロール群に比して、有意なTLR-7の発現を認めた。現在これらの臨床例をもとに自己免疫性膵炎の1型、2型に相当する2種類のマウスモデルの開発に成功しており、これらをモデルを用いた免疫・分子生物学的解析も開始しており、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
IL-10発現におけるTregとBregの関連性について更に検討を加えるとともに、自然免疫系との関連性をTLR7を中心にして解析を加える。特に、マクロファージや樹状細胞以外に担当する細胞の有無についても検討を加える予定である。 臨床における自己免疫性膵炎の2つの亜型である1型、2型自己免疫性膵炎に相当する2種類の動物モデルの開発に成功しており、これらをモデルを用いた免疫・分子生物学的解析も推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続いてモデル動物の作成および臨床例の各病変臓器における免疫組織学的研究に必要な抗体や消耗品を中心に研究費を使用する予定である。
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