研究課題
わが国より発信された新規疾患である自己免疫性膵炎(AIP)の病態と発症機序を解明することを目的として、患者および動物モデルを対象に発症とIgG4産生制御における制御性T細胞(Treg)、制御性B細胞(Breg)と自然免疫の役割について検討した。本研究では自己免疫性膵炎(AIP)の発症機序とIgG4産生制御における機序を明らかにすることを目的に、 (1) 抗原特異的メモリーTregとその誘導因子であるICOS分子発現との関連、(2) Bregについて、臨床例を用いた免疫・分子生物学的解析を行った。更に、 (3)TLRsを活性化させた動物モデルを作成して、自然免疫系の関与について検討した。(4)IgG4産生能膵癌でもIgG4高値例やIgG4陽性細胞が浸潤することより、膵癌症例におけるIgG4陽性細胞浸潤の機序についても検討した。その結果、(1)自己免疫性膵炎だけでなく、膵癌やその周辺の閉塞性膵炎部位において、IgG4陽性形質細胞の浸潤部位では、IL-10を分泌するICOS分子陽性Tregの浸潤と相関を認め、IgG4産生制御に関与することを明らかにした。(2)Bregとの関連に関して、IL-10 を産生するCD19+CD24hiCD38hi BregsとCD19+CD24hiCD27hi Bregsの2亜型の存在を確認した。AIP患者群ではコントロール群に比して、CD19+CD24hiCD38hi Bregsの増加とCD19+CD24hiCD27hi Bregsの低下を認めたことより、前者はIgG4産生に後者は疾患発症に関わる可能性が考えられた。(3)自然免疫系については、poly:ICをMRLマウスに投与して、TLR3を賦活して、膵炎、胆管炎、唾液腺炎などの発症を認め、自然免疫系の異常反応が自己免疫性膵炎発症に関わる可能性が考えられた。
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Pancreatology
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