研究課題/領域番号 |
23591021
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡 志郎 広島大学, 病院, 病院助教 (30403538)
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研究分担者 |
田中 信治 広島大学, 病院, 教授 (00260670)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胃SM癌 / 分子病理マーカー / リンパ節転移予測 |
研究概要 |
現在、粘膜下層(SM)に浸潤した胃癌の標準的治療法はリンパ節郭清を含めた外科的切除であるが、リンパ節転移のない胃SM癌の多くがover-surgery(不要な外科的切除)されているのが現状である。広島早期胃癌研究会に所属する施設より外科的あるいは臨床的にリンパ節転移の有無が明らかな胃SM癌症例220例(うちリンパ節転移例38例)について臨床病理学的データと標本(未染)を得た。これらを材料に胃SM癌のリンパ節転移陰性の条件について基本的な解析を行った。また、予後(転移再発、生存の有無)が明らかな173例についてリンパ節転移陰性の条件についてその妥当性について検証した。その結果、現在の胃癌治療ガイドラインで示されている胃SM癌リンパ節転移陰性(外科的追加切除不要)の条件『SM浸潤度500μmまで、腫瘍径30mm、脈管侵襲陰性』は概ね妥当であること、胃SM深部浸潤(SM2)癌は原則外科的追加切除が必要なこと、が明らかとなった。しかしながら、SM2癌であっても、SM浸潤先進部の組織型(高分化型)、SM浸潤の幅(6000μm未満)、浸潤形式(inf)などを考慮することで、リンパ節転移陰性の胃SM癌を抽出することが可能であることも新たな知見として得られた。これにより臨床的に内視鏡治療胃SM癌後のover-surgeryを減らし、患者のQOLや医療費の削減に貢献できる可能性を示すことできた。本結果の一部はGastric cancer 15: 97-105, 2012に報告した。現在、既知の分子病理マーカーを用いてSM浸潤先進部の評価を行い、リンパ節転移との関連を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析に必要な胃SM癌のリンパ節転移陽性症例を増やす必要がある。また、分子病理マーカーによるSM浸潤先進部の評価を行うためには、複数のマーカー(E cadherin、MUC1、MMP-7・9、Catepsin D、VEGFファミリー、CD34・p53、Ki-67、apotosis)を評価していく必要があるためやや時間を要しているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
通常標本のホルマリン固定パラフィン切片を用いた免疫染色法によるリンパ節転移予測に有用な分子病理マーカーを明らかにするとともに、表層部からDNAを抽出し各転移関連遺伝子やmicrosatellite instabilityとの関連性について検討し生検によるリンパ節転移予測の可能性を追求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入と旅費(発表、情報収集)が主な使用用途である。
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