研究課題/領域番号 |
23591024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
榊原 守 北海道大学, 大学病院, 助教 (90349366)
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研究分担者 |
筒井 裕之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264017)
絹川 真太郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60399871)
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キーワード | 慢性心不全 / 陽圧呼吸療 / ASV / PET / 交感神経活 |
研究概要 |
慢性心不全治療の一つとして、現在注目されている夜間の呼吸を安定化させることができる呼吸補助装置であるASV(Adaptive Servo-Ventilation:順応性自己調節性人工換気療法)療法の効果の判定に交感神経活性の評価が重要である。2010年秋より、本邦で初めて使用可能になった交感神経活性の評価に有用な核医学検査の一つであるHED(11C-Hydroxyephedrinethe)- PETを利用して、ASV療法施行前、9週間後の交感神経活性評価を行い、慢性心不全に対するASVの有用性を検討した研究をおこなっている。現在、9名の方が、研究に同意いただき、HED-PETをASV施行前後の検査を行った。統計学的解析を行い、9週間のASV施行により、ベースラインと比較し、交感神経活性の指標となるRetention indexの改善を認めた(baseline0.068±0.040 v.s post 0.090±0.055 *p=0.040)。それらの結果をまとめ、先日、平成26年3月29日(土)に、米国ワシントンDCで開催されたAmerican College of Cardiology 63th Annual Scientific Sessionにて国際発表(poster)をおこなった。現在、引き続き、研究を遂行しているが、特に、ASVを使用しない『コントロール群』の症例数が少なく、ASV群との比較検討がきていないため、さらに症例数を集めて、今後、ASV群とコントロール群の比較検討を含めた本研究の有用性を実証した上で、論文化し、さらなる世界への貢献をしていきたいと思っている。 また、本研究の先行研究である、ASVの急性効果の検討において、肺動脈楔入圧高値ならびに僧帽弁閉鎖不全症を有する重症心不全が最もASVにより1回拍出量の増加をもたらすことを証明できたため、平成25年1月30日にCirculation Journalに投稿された。この結果も慢性期の交感神経活性にも大きく影響を与える根拠の一つになり、現在施行している研究の結果によりASV療法が慢性心不全患者に広く使用されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、PETの機器の更新が行われ、一時期3カ月程度、使用できないことがあったため症例数が集まらなかった、平成25年度は、順調に症例を集めることができた。しかし、予定しているASV群:12名、コントール群:12名は統計学的に比較検討を行うためには必要であり、現在、60%程度の達成度と思われる。さらなる症例のリクルートを励行する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様、臨床研究を続行し、さらなるデータの収集及び解析を行い、ASV療法の慢性心不全患者の治療法の有用性を確立させる。米国(ハーバーバード大学)とカナダ(オタワ大学)のトップ施設との海外交流を充実させ、最終的に、海外の学術集会・研究会にて成果の発表を行うことで情報を発信し、世界的に貢献する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記、今年度、さらなる症例の収集ならびに研究の解析を続行し、また海外との連携および学会発表・論文も積極的に継続施行するため。 ①消耗品:事務消耗品、印刷、複写費などである。②旅費:1) 研究代表者が研究の関連した研究会及び学会の演題発表、講演を含めた参加(年5回程度)研究成果を学会発表するための経費2) 心臓交感神経活性の非侵襲的評価における世界トップ施設である米国ハーバード大学放射線診断学部門Dr. Di Carli 及び カナダオタワ大学放射線・循環器部門Dr. Rob S. B. Beanlandsの協力のもとに、研究手法の調査及び意見交換を行い、海外研究者との研究ネットワークを構築するための旅費を含めた交流費が主体となる。③その他:検査外注量や論文投稿料を必要とする。
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