研究概要 |
冠攣縮性狭心症患者における末梢血好中球Rhoキナーゼ活性の日内変動に関する検討 背 景:我々は末梢血好中球のRhoキナーゼ活性高値が冠攣縮性狭心症(VSA)の疾患活動性を反映することを報告した(J Am Coll Cardiol. 2011;58:1231-7)。VSAの臨床上の特徴として、症状(数分間)は深夜から早朝にかけて好発することが知られている。目 的: VSA患者の末梢血好中球Rhoキナーゼ活性も、臨床症状と同様の日内変動を有するか、同一症例の解析により検討した。方 法:対象はアセチルコリン誘発試験陽性にてVSAと診断した31例(男/女 23/8, 年齢57±13 [SD] 歳)、対照として非VSA患者18例(男/女 8/10,年齢 57±14歳)を設定し比較検討した。6:00,、12:00、21:00に採血を行い、末梢血多核白血球のmyosin binding subunit (MBS) リン酸化を測定し、Rhoキナーゼ活性の指標とした。すなわち、リン酸化スレオニン696MBSとMBSとの比で表し、positive controlとしてのMBSのリン酸化比の値で補正して算出した。結 果: Rhoキナーゼ活性は、6時の時点で VSA群では非VSA群に比し、有意に高値を示した(1.17±0.17 vs. 0.92±0.22, P<0.001), VSA群では統計上有意な日内変動が認められたが(1.00±0.15 at 21:00, 1.17±0.17at 6:00 and 1.12±0.22 at 12:00, P<0.001)、非VSA群では明らかではなかった(0.96±0.20 at 21:00, 0.92±0.22 at 6:00, and 1.03±0.26 at 12:00, P=0.07)。結 論:VSA患者においては末梢血好中球Rhoキナーゼ活性の有意な日内変動が認められ、病態との関与が示唆された。末梢血好中球Rhoキナーゼ活性は疾患活動性を反映したバイオマーカーとして今後更なる研究が期待される。
|