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2012 年度 実施状況報告書

動脈硬化性冠動脈疾患における心外膜脂肪の意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591028
研究機関山形大学

研究代表者

二藤部 丈司  山形大学, 医学部, 非常勤講師 (30400542)

キーワードメタボリック症候群 / 動脈硬化 / 心外膜脂肪 / マルチスライスCT
研究概要

冠動脈バイパス手術となった重症狭心症患者と非冠動脈疾患で開心術を行なった患者を対象とし、心外膜脂肪容積を64列マルチスライスCT(MSCT)にて測定し、開心術中に、心外膜脂肪組織、皮下脂肪組織、心嚢液を採取した。肥満症例においては、心外膜脂肪容積に差はなかったが、非肥満症例においては、冠動脈疾患群で有意に心外膜脂肪容積が増加していた。心嚢液中のアディポネクチン濃度は心外膜脂肪容積と有意な負の相関がみられた(R=-0.312, p<0.05)。非肥満症例において、多変量解析にて、心外膜脂肪量の増加が冠動脈病変有病に対する独立した危険因子であった(OR 6.56, p<0.05)。さらに、心外膜脂肪組織をアディポネクチンで免疫染色を行ったところ、冠動脈疾患群で、心外膜脂肪細胞の面積は拡大し、かつ、アディポネクチン発現が低下していた。一方、皮下脂肪組織において2群間の差は認められなかった。
心臓CTを行った別の症例(254症例)において、動脈硬化病変の指標として、冠動脈プラークとpositive remodeling(PR)に注目し、それらの有無をMSCTで測定し、心外膜脂肪容積との関係を検討した。①プラークもPRも認めない群、②プラークは認めるが、PRを認めない群、③プラークもPRも認める群として、それぞれ心外膜脂肪容積が36.5±25.4ml、41.3±24.5ml、65.6±31.0ml(P<0.05)と有意な差を認めた。またremodeling index値と心外膜容積には、有意な正の相関を認めた(R=0.31,p<0.01)。
以上より、冠動脈における動脈硬化には心外膜脂肪が関与している可能性があり、冠動脈におけるプラークやPRなどの動脈硬化の直接的変化においてもそれを裏付ける結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

心外膜脂肪容積と患者プロフィール及び冠動脈性状との検討は十分できた。その結果、心外膜脂肪が冠動脈疾患に影響している可能性を示唆する所見が得られた。
しかし、脂肪組織におけるサイトカイン発現に関しては、十分な蛋白量が確保できずにアディポネクチン以外のサイトカインに関する検討ができなかった。

今後の研究の推進方策

研究協力者3名と、心臓CTにおける脂肪容量算出、冠動脈狭窄・プラーク解析、脂肪組織の免疫染色を分担しながらおこなっていく。症例をさらに増やし冠動脈のプラーク性状やpositive remodelingの評価を引き続き行っていく。また、心血管イベント発症を追跡し、予後規定因子になるかどうかの検討もおこなっていく。

次年度の研究費の使用計画

25年度については、冠動脈のプラーク性状やpositive remodelingの評価を引き続き行い、さらにそれらに関与する因子(脂質代謝異常症など)について検討していく。さらに、心血管イベント発症を追跡し、脂肪容積、プラーク性状、positive remodelingなどが、予後規定因子になるかどうかを検討していく。また、安定狭心症症例のみならず、急性冠症候群症例においても、心外膜脂肪容積が関与しているのかを検討する。

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公開日: 2014-07-24  

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