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2011 年度 実施状況報告書

体表面標準心電図による心内の三次元的再分極分布と不整脈リスクの評価

研究課題

研究課題/領域番号 23591032
研究機関新潟大学

研究代表者

和泉 大輔  新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30529699)

研究分担者 池主 雅臣  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40303151)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード不整脈 / T波 / 再分極 / 多形性心室頻拍 / QT延長
研究概要

心室の再分極分布の時間的空間的ばらつきが、致死性不整脈の起因として報告されている。体表面心電図で貫壁性のばらつきを含む心内の3次元的な再分極分布が評価できれば、重症不整脈の発症リスクを早期に鑑別できる。これまで心臓全体を用いた不整脈モデルで再分極分布を評価し、体表面心電図への反映を評価した実験系は極めて乏しい。そのため本課題では、多形性心室頻拍を自然に発症しうるAnthopleurin-A静注によるQT延長症候群モデル犬を用いて、多極針電極で心室貫壁性(心内膜側・心筋中層・心外膜層)のマッピングを3次元的に行った。体表面心電図のT波の頂点(T-peak)から終末点(T-end)までの時間(Tp-e)を評価し、心筋の3次元的な再分極分布との相関関係について検討した。本年度の研究で、3次元的に大きな心室再分極分布のばらつきを有する心臓では、体表面心電図肢誘導のTp-eは、左室全域の再分極分布のばらつきと強い相関を認めることを以下の通り明らかにした。1. 心室の再分極分布は心室の長軸方向と貫壁方向に、徐脈依存性にばらつきの増大を認めた。2. 徐脈時には、心外膜側と心内膜側に比べ心筋中層の再分極時間の相対的な延長を認めるとともに、左室の心基部に比べ心尖部で再分極時間の大きな延長を認めた。3. 左室局所の貫壁性再分極分布のばらつきは、同領域の心内膜側と心外膜側の間で記録した双極心電図のTp-eとよい1:1相関を認めた。4. 体表面心電図肢誘導のTp-eは、左室の貫壁性再分極分布とは1:1相関しなかった。5. 体表面心電図肢誘導のTp-eは、貫壁性の再分極分布のばらつきを含めた心基部から心尖部までの左室全域の再分極分布のばらつきとよい1:1相関を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の骨格となる体表面心電図のT波の頂点(T-peak)から終末点(T-end)までの時間(Tp-e)と、貫壁性のばらつきを含む心内の3次元的な再分極分布の関連性について、一定の研究成果を得た。研究成果については、健全な医療の発展に貢献するため、国際的学術誌(申請者ら Heart Rhythm 2012)に掲載し、内外の関連学会(American Heart Association Scientific Sessions Conference 2011)に報告を行った。

今後の研究の推進方策

来年度以降は、QT延長モデルとともに心筋虚血モデルとJ波症候群モデルの検討を進める。各モデルの作成を確立し、体表面心電図と心室の3次元的な再分極分布の関連性を評価する。 これまでの研究では、ビーグル犬を静脈麻酔下で人工呼吸管理を行い正中開胸で心臓にアプローチしていたため、体表面心電図の前胸部誘導の導出に限界があった。そのため、前胸部誘導と心室の貫壁方向を含む3次元的な再分極分布の関連性を評価に困難な面があった。術式を改良し、側胸部の小開胸により心臓にアプローチすることで体表面心電図の前胸部誘導が記録できるため、翌年度以降は体表面心電図の前胸部誘導と心室の貫壁方向を含む3次元的な再分極分布の関連性も含め評価する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に得られた結果を基にして、各モデルを作成して、Tp-eと心内不応期分布の相関関係と、重症心室性不整脈発症のリスクを検証する。対照状態と急性虚血および低体温の条件下で、以下の項目の関係を明らかにする。各モデルでのTp-eおよび心電図形状と、(1)3次元的不応期分布と催不整脈性、(2)自律神経活動、(3)薬剤と高頻度ペーシングの治療介入効果、(4)心臓局所のRestitution kinetics。 本年度、未使用額があったが、これは一定の研究成果を得るために実験結果の十分な解析に時間を要したことにより、すべての実験プロトコールを遂行できなかったためである。未使用額については、QT延長モデルでの前胸部誘導と心室の貫壁方向を含む3次元的な再分極分布の関連性を評価を行うために、使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The peak-to-end of the T wave in the limb ECG leads reflects total spatial rather than transmural dispersion of ventricular repolarization in an anthopleurin-A model of prolonged QT interval.2012

    • 著者名/発表者名
      Izumi D
    • 雑誌名

      Heart Rhythm.

      巻: Volume 9 ページ: 796-803

    • DOI

      10.1016/j.hrthm.2011.11.046.

    • 査読あり
  • [学会発表] Correlation between Spatial Repolarization and Peak-to-end of the T Wave on Transmural Left Ventricular and Body Surface ECG2011

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Izumi
    • 学会等名
      American Heart Association Scientific Sessions Conference 2011
    • 発表場所
      Orlando, Florida
    • 年月日
      November 14, 2011

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公開日: 2013-07-10  

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