研究課題/領域番号 |
23591034
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中村 貴光 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (60377512)
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研究分担者 |
尾畑 純栄 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60362076)
橘田 吉信 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (10377509)
川端 健一 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (30345706)
藤岡 大佑 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (70377513)
久木山 清貴 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
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キーワード | Remote conditioning / DES |
研究概要 |
急性冠症候群に対するステント留置術は、標準治療として普及している。しかしながら、薬剤溶出性ステント(DES)留置後の冠動脈 内皮障害の存在が明らかになり、その解決が求められている。 心臓以外の他臓器で虚血再灌流を繰り返すremote conditioningが、心筋の保護作用を有する可能性が最近明らかにされた。今回、 我々はremote conditioningがDES留置後の冠動脈内皮障害を改善するとの仮説を持ち、DES留置を行った急性冠症候群に対するRemote conditiningの臨床的効果について検討を行っている。 昨年度に引き続き、24年度末までに、50例(Remote conditioning群 25例、コントロール群 25例)が登録されている。24年度末までに30例(Remote cond itioning群 16例、コントロール群 14例)が1年の観察期間を経過している。心血管イベントについては、現在のところ両群で有意な差は認めていない。しかしながら、発症早期(2週間後)での冠動脈責任血管の血管内皮機能はRemote conditioning群にて温存されている傾向がある。抗動脈硬化についての検討については、血管内超音波(IVUS)と光干渉断層法(OCT)でのフォローアップを行っており現在解析中である。これまでの結果より、DES留置後の急性冠症候群に対するRemote conditioningは責任血管の血管内皮障害を軽減する傾向が示され、 長期的な予後改善効果に対しても期待が出来る可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度末までに50例と昨年より症例登録数は増加しているが、当初の予想より少ない。薬剤溶出性ステントは冠動脈狭窄に対する標準的なデバイスになりつつあるが、使用に際しては患者背景等を考慮しての使用がされている。このような状況が登録症例数が少ない一因となっている可能性がある。また、比較的急性期の治療を要する患者群を対象にする為、インフォームドコンセント取得に難渋するケースも認められる。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的検討については、心灌流血中のサイトカイン・成長因子・増殖因子の濃度等の血管内皮機能に関連するパラメーターを測定する ことで、Remote conditioningの臨床的メカニズムを解明していく。基礎的検討では、ステント留置部位の組織学的評価、ウェスタン ブロット法による当該血管でのeNOS, akt, p-akt 、他の細胞内シグナル関連分子発現等を測定しremote conditioningの分子学的メカ ニズムを解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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