研究課題
<目的>従来の骨髄細胞移植による血管再生医療は全身麻酔下で骨髄細胞を採取するため、患者の負担が大きい。また、高齢者では採取できる骨髄細胞数が少なく、十分な治療効果が得られないこともある。そこで骨髄細胞に代わる新たな治療細胞源として脂肪組織由来幹細胞(ADRC)に着目し、ADRC移植による新たな血管再生医療を開発する。<方法>対象は従来の治療法では改善の認められない重症の末梢動脈疾患患者(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病)。局所麻酔下に腹壁皮下脂肪組織(100~300g)を吸引・採取し、Celutionシステム(サイトリ社)によりADRCを1~2時間で分離する。分離されたADRCを直接虚血四肢に筋注・移植し、治療効果ついて評価する。<結果>安静時疼痛のある60代の閉塞性動脈硬化症患者に対して、第1例目となるADRC移植による再生治療を実施した。腹壁皮下より脂肪組織を360g採取し、1.1x107のADRCを分離・精製した。このADRCを虚血下肢80ヵ所に筋注・移植し、安静時疼痛は著明に改善した。移植前には100mであった最大歩行距離も、移植12週後には500mまで延長した。副作用の出現は認めず、有効かつ安全な治療法であることを確認できた。
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