研究概要 |
アドリアマイシン誘導性およびLPS投与慢性心不全モデル 急性心筋炎・心不全で得られた結果が、一般臨床では最も多い心疾患である慢性心不全でも当てはまるかという事を検討した。 1)ミオシンによる急性心筋炎の場合と同じく、FcγRIIB, FcγRIII, FcγRのKOマウスに、アドリアマイシン(5~10mg/kg/day, 3回/週)およびLPS(10mg/kg/day)の腹腔内投与を行い、それぞれ慢性心筋障害・心不全と慢性敗血症モデルを作成した。また WTのマウスでも、それぞれアドリアマイシンとLPS投与の心不全を作成した(各n=10~15)。2)FcγRIIBKOマウス群では、別に用意したWTマウスよりのリンパ球を移注し、それぞれアドリアマイシンとLPS投与による心不全を作成(各n=10~15)。3)心不全の評価には、心エコー法による左室内腔計測と左室収縮能・拡張能およびdp/dtの解析を行った。4)屠殺時には、心重量の測定、通常の心病理の他、NF-κB, eNOSなどのITIMの下流の分子の発現をウェスタン法やRT-PCRで検討。FcγRIIBKOマウスでの心不全の増悪とNF-κBの発現低下の傾向がみられた。 また、3種類のFcγRノックアウトマウスを用い、心筋障害進展におけるおのおののFcγRの意義を解析。in vitroでのITIM下流のシグナルの分析を行い、慢性心障害・心不全モデルとして、アドリアマイシン心筋症およびLPS投与の敗血症モデルで得られたおのおののFcγRの意義を確認した。さらにFcγRノックアウトマウスとアポリポプロテインEノックアウトマウスとの交配マウスを用いて動脈硬化症進展におけるFcγRの意義を解析した。本結果を論文としてまとめた。
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