研究課題/領域番号 |
23591041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
錦見 俊雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80291946)
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研究分担者 |
桑原 宏一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30402887)
中川 靖章 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70452357)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | BNP / アドレノメデュリン / 糖鎖 / 心不全 |
研究概要 |
1. proBNPは血中に多く含まれ、現在のBNPの測定系ではproBNPも交叉している事が判明している。2010年の我々の報告ではproBNPをC18カラム抽出、ゲル濾過法、免疫蛍光法を組み合わせて測定していたが、この方法ではproBNP測定に数日かかり、多くの検体も処理出来ない。臨床応用には、2つの特異的なモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法で血漿を直接測定する系を完成する必要がある。サンドイッチ法を利用した、非競合的免疫蛍光法を用いたproBNPの測定系開発を行った。最低測定限界値が(0.4 pM)で、血漿から約7時間で測定できる系で、CV値10%以下であった。2. BNPの分子型の決定にはproBNPのcorin、furin などのprocessing酵素が重要な働きをしている可能性がある。新生仔ラット心臓の心筋培養を行い、細胞内液とメディウムを採取し、BNP分子型の測定を行った。さらにこのcorin、furinのsiRNAを用いて遺伝子のノックダウンを行い、processingとの関係を検討した。proBNPのprocessingにはfurinが関係していることが示唆された。3.ラット心筋細胞にヒトproBNP遺伝子をレンチウイルスを用いて遺伝子導入し、培養液中のproBNP/BNP比を測定することにより、ヒトproBNPのプロセシングを評価した。またproBNPのO型糖鎖付着部位であるThr, Ser残基をAlaに変えた遺伝子変異体を作成し、どこの糖鎖付着がprocessingに影響をもつのかを評価した。その結果、71Thへの糖鎖の付着がprocessingに重要である事が示された。4.アドレノメデュリンのコンディショナルKOマウスを作成し検討予定で、現在floxマウスの樹立に成功しaP2をプロモーターにCreを過剰発現したマウスに掛け合わせている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成度はほぼ良好である。「ヒト血漿における糖鎖結合型proBNPと非結合型proBNPの分離測定系の構築」をもうけていたが、我々の現在のゲル濾過と新しい測定系の解析を組み合わせた検討からは、ヒト血漿では殆どがproBNPは糖鎖結合している事が示された。従って、この測定系を構築しても意味が少ないという事で、proBNPの簡便な測定系の構築に変更した。新たな課題も見つかり、今後進めていく予定である。processing酵素の同定に関しても、ほぼ順調に進んで、proBNPのprocessingにはfurinが関係しているという成果が得られた。一方、proANPのprocessingにはfurinが関係していた。糖鎖とproBNPのprocessingに関した研究も順調に運び、71Thへの糖鎖の付着がprocessingに重要であるという結果が得られた。これだけではすべを説明出来ず、他の場所に対する糖鎖付着の影響を継続して検討している。アドレノメデュリンのコンディショナルKOマウスの作成に関しては、ようやくfloxマウスの樹立に成功し、今後aP2をプロモーターにCreを過剰発現したマウスに掛け合わせて、解析予定である。
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今後の研究の推進方策 |
proBNPのN端に糖鎖が付着しこれがprocessingに関係する事が明らかとなった。特に71Thrへの糖鎖付着が重要である事が判明した。また71Thだけではすべてを説明出来ないことも判明したので、本年度は、他のどの場所への糖付着がproBNPのprocessingに大事かを検討する。糖鎖が全くつかない変異体も同時に作成し、糖鎖の意義をより証明していく予定である。同時に、これらの場所への糖転移酵素の同定も試みる。現在、いくつかの糖転移酵素に絞り込めており、siRNA等を用いて検討予定である。ヒト心不全の研究ではproBNPの測定系が出来たので、proBNPの比率が高い心不全はどのような特徴を有するのかを臨床的に詳細に検討する。さらにproBNPと腎機能や年令、性、肥満との関係なども詳細に検討予定である。可能であれば心臓カテーテル時に種々の場所から採血を行い、proBNPの全身での代謝と意義について検討する。アドレノメデュリンもようやくFloxマウスができたので、aP2をpromotorにCreを過剰発現したマウスと掛け合わせ、脂肪細胞特異的なKOマウスを作成し、糖代謝、脂質代謝等への影響を見ていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
proBNPへの糖鎖の付着とprocessingとの関係では、心筋細胞の培養系で評価を行っているので、新生仔ラットの購入、FCS、プラスチック器具などなど細胞培養に必要な種々の消耗品、分子生物学に必要な試薬、消耗品が必要である。また糖転移酵素の同定には種々のsiRNAを用いた検討を考えており、この購入費用、リアルタイムPCRに必要なプライマーも必要である。ヒト心不全のproBNPの研究では測定に必要なプラスチック器具や、消耗品、さらに同時に評価を予定しているcGMP、ANP等の外注費用(試薬を購入して測定するよりも、費用はほぼ同じで、労力が省ける)が必要である。アドレノメデュリン細胞特異的なKOマウスの研究では、糖代謝、脂質代謝等への影響を見ていく予定なので、これらを測定する試薬、kitの購入、マウスの飼育費用などに当てる予定である。さらにこれらの研究結果を国内外の学会で発表予定であるので、これに必要な旅費にも充てる予定である。
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