研究課題
我々は以前血中でproBNPが心不全で増加している事を、C18カラムによる抽出、ゲル濾過法を組み合わせた方法で示した。本研究では簡便なproBNP測定法を試み、最終的にproBNPを2つのモノクローナル抗体でサンドイッチして測定する系の構築に成功した。健常者ではproBNP/total BNP比率は60~70%とproBNPが静脈血中の主要な分子型である事を示した。心不全患者ではproBNPは重症度とともに増加し、その比率は平均60%であった。透析患者ではその比率は健常者に比べて高く、透析の罹患期間と相関した。proBNPが切断されない機序ついてもin vitroの系で検討を行った。ヒトproBNP遺伝子をラットの心筋細胞にレンチウイルスを用いて遺伝子導入する系を構築し、同時にヒトproBNP遺伝子の変異体を作成し、個々の糖鎖結合部位の意味を検討した。糖鎖修飾が7箇所あるとメディウム中のproBNP/total BNP比率は約40%で、すべての糖鎖修飾部位をAlaに変えた変異体では切断がほぼ完全となった。71Thを69Th、 67Th、71Alaと切断部位からの距離を遠ざけると、proBNP/total BNP比率は徐々に低下した。この事からproBNPのプロセシングに切断部位からの糖鎖の付着する位置の重要性が明からかとなった。アドレノメデュリン(以下AM)は強力な降圧活性等、循環調節並びに循環器疾患の病態に深く関与している。我々は肥満高血圧患者で脂肪の増減と比例して血中AM濃度が平行して変動する事、脂肪細胞の培養系で脂肪細胞がAMを著明に分泌している事が示してきたが、脂肪組織における生体でのAMの意義は不明であった。そこで脂肪組織における生体でのAMの意義を解明するために、脂肪細胞特異的にAMを欠損した遺伝子改変マウスの樹立をこころみ、成功した。脂肪細胞特異的にAMを欠損すると血圧が少し高くなる事が判明した。その血圧増加機序について検討したところ、レニン、アルドステロンの寄与が少ないことがわかった。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e92314
10.1371
Dev Dyn
巻: 243 ページ: 243-256
Heart
巻: 99 ページ: 677-679
10.1136
巻: 8 ページ: e53233
Curr Protein Pept Sci
巻: 14 ページ: 256-267