研究課題/領域番号 |
23591042
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真野 敏昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90379165)
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研究分担者 |
山本 一博 鳥取大学, 医学部, 教授 (90303966)
坂田 泰史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00397671)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 心不全 / 機能的腎予備力 / 腎血流ドプラ / 心腎連関 |
研究概要 |
本研究の目的は、機能的腎予備力評価を、腎血流ドプラを用いた生理学的指標、メタボローム解析を用いた探索的研究による生化学的代謝指標を用いて行うことで、心不全における心腎連関のメカニズムを解明することである。平成23年度は、resistance index(RI)=(最大収縮期血流速-拡張末期血流速)/収縮末期血流速を腎血流ドプラ法による機能的腎予備力評価方法として用い、臨床研究を開始した。研究デザインは観察研究とし、外来通院患者でeGFR 15~59 (CKD stage 2~4)の患者群(CKD群)とFramingham Heart Studyの心不全診断基準を満たし、心不全での入院歴がある患者群の2群で心エコー検査時に腎血流ドプラ評価を行った。アウトカム変数を腎エコーによる腎機能指標(RI)とし、説明変数として年齢、性別、身長、体重、心エコーデータ、採血データ、内服薬について解析を行った。心不全群でRI値は有意に高値であった。また左室拡張機能障害指標とRI高値には関連を認めた。また、我々が確立した高血圧性心不全ラットモデルの尿、血液サンプルを用いてメタボローム解析を行い、心不全との関連物質を探索した。メタボローム解析ではキャピラリー電気泳動法(CE)と飛行時間型質量分析法(TOFMS)と組み合わせたCE-TOFMS法を用いて、約600程度の陽イオン性代謝物質、陰イオン性代謝物質,ヌクレオチド類代謝物質の濃度測定を行った。その結果食塩感受性と心不全の関連候補物質を見つけ、その機能解析をすすめるため、心不全モデルラットに対する投与実験を行い、心不全発症抑制効果があるという結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究を開始し、観察研究により当初の予定通りCKDおよび心不全患者について解析が進み、腎血流ドプラ法を用いた評価が心不全患者の病態診断に有用である結果を得ている。また心不全ラット検体を用いたメタボローム解析により、心腎連関に関係の深い食塩感受性と心不全の関連候補物質を同定し、モデル動物に対する投与実験で結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度のラット高血圧性うっ血性心不全モデルにおける解析を続けるとともに、心不全患者の血液および尿サンプルを用いたメタボローム解析を行う。機能的腎予備力指標として、生理学的指標、生化学代謝的指標、そしてeGFRの3者を組み合わせて検討し、これらの指標が心不全患者と関連があるかの検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
心不全モデル動物の作成、飼育費用および血液、尿、組織検体の解析費用に用いる。また心不全患者のメタボローム解析のための費用に使用する計画である。
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