研究課題
<内容>In vivo研究では、ROCK2 KOマウスが、ROCK1 KOおよびWTマウスと比して脳虚血領域が低下すること、その機序がROCK2 阻害による内皮細胞eNOSの発現亢進によることを明らかにした。In vitro研究では、ROCK2によるeEF1A1のリン酸化を介したeNOS mRNAの不安定化が、その機序であることを明らかにした(投稿準備中)。さらに、マウス心肥大モデルを用いて、ROCK2がFHL2を介して心肥大を制御していることを明らかにした(FASEB. 2013)。臨床研究では、非侵襲的な白血球ROCK活性を用いて検討した。高血圧患者における検討では、エプレレノン(アルドステロン阻害薬)、ロサルタン(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の投与により血管内皮機能障害は改善したが、ニフェジピン(Ca拮抗薬)の投与では改善を認めなかった。一方、エプレレノン、ニフェジピンの投与によりROCK活性は低下したが、ロサルタンでは低下しなかった。これらより、ROCK活性は血管機能を反映するバイオマーカーとしては有用であるが、内皮機能検査とは異なった血管機能を示すことを明らかにした(Clin Pharmacol Ther. 2012)。さらに、ROCK活性が、心血管イベント発症を予測するバイオマーカーとしても有用であることを明らかにした(Hypertension. 2013)。<意義・重要性>動脈硬化の発症と進展において、ROCK2がメディエーターとして重要な役割を担っており、新たな治療ターゲットとなり得ることをトラスレーショナル研究によって示した。バイオマーカーとしても、白血球ROCK活性が心血管イベント発症予測に有用であることを示した。現在のROCK活性評価はラボユーズと限定的であるため、さらなる簡易的ROCK活性測定の開発が期待されており、現在検討中である。
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FASEB J.
巻: 27 ページ: 1439-1449
10.1096/fj.12-217018
Hypertension.
巻: 64 ページ: 856-864
10.1161/HYPERTENSIONAHA.113.02296