研究課題/領域番号 |
23591044
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 秀也 広島大学, 病院(医), 講師 (70335678)
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研究分担者 |
木原 康樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (40214853)
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キーワード | 大動脈弁石灰化 / 心臓CT / 耐糖能障害 |
研究概要 |
平成19 年より「大動脈弁硬化症の診断と冠動脈疾患との関連性および追跡調査に関する研究(CT-AVC研究)」の患者登録を行っている。平成23年度までに約150 例の症例登録予定をさらに延長し、24年7月まで300例をめどとして患者登録を継続中である。 2.タリウム負荷心筋シンチグラフィーを行った約800 例の後向き解析結果から、心エコーで検出される大動脈弁石灰化(AVC)は、一過性虚血陽性に対する独立した危険因子であり、特に無症候性患者においてその関係が顕著であったことを英文誌に報告した。すなわち、アデノシン負荷タリウム(Tl-201)心筋シンチグラフィ-及び経胸壁心エコー検査の両方を施行された669例を解析対象と、その結果、AVCを有することは心筋虚血の存在(Sum difference score [SDS]≧ 3)に対する独立した因子であった(調整オッズ比 [OR] =1.56; 95%信頼区間 [CI] = 1.10-2.23; p = 0.013)。さらに、無症候性患者311例での検討においても、AVC有りは心筋虚血の存在(SDS ≧ 3)(調整オッズ比 = 1.98; 95%CI = 1.15-3.45; p = 0.014)及び中等度から重症虚血の存在(SDS ≧ 8)(調整オッズ比= 4.31; 95%CI = 1.67-12.8; p = 0.0043)に対しする独立した因子であった。 心臓CTを用いたCT-AVC研究では症例登録を継続している。心エコーにて大動脈弁石灰化を認めた症例に心臓CTを施行し、大動脈弁石灰化は冠動脈粥状硬化との関連があることを明らかにしている。また、大動脈弁狭窄症症例の予後追跡を行ったところ、大動脈弁石灰化量が多いことは、その後の心イベント(死亡、大動脈弁置換術)の発生の予測指標となることを報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タリウム負荷心筋シンチグラフィーを行った約800 例の後向き解析結果から、心エコーで検出される大動脈弁石灰化(AVC)は、一過性虚血陽性に対する独立した危険因子であり、特に無症候性患者においてその関係が顕著であったことを英文誌に報告した。 しかし、無症候性糖尿病患者においての関係についての有用性は明らかにするに至らなかった。 心臓CTを用いたCT-AVC研究では症例登録を継続している。心エコーにて大動脈弁石灰化を認めた症例に心臓CTを施行し、大動脈弁石灰化は冠動脈粥状硬化との関連があることを明らかにしている。また、大動脈弁狭窄症症例について、予後追跡を行ったところ、大動脈弁石灰化量が多いことは、その後の心イベント(死亡、大動脈弁置換術)の発生の予測指標となることを明らかにしている。 また、心膜脂肪量が冠動脈イベント発生と関連があることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
荷試験(OGTT)を施行するもので、研究期間中は血液サンプルの解析から主として耐糖能異常、アディポネクチンを含めたインスリン抵抗性と冠動脈、弁疾患との関連を明らかにする。さらに、症例の追跡調査から臨床転帰についても検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に行う予定であった保存血清を用いた、各種バイオマーカーの測定に遅延が生じているため未使用額が生じた。平成25年度分と合わせて、これらバイオマーカー測定に主として使用する予定である。
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