研究課題/領域番号 |
23591045
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡村 誉之 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70380011)
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研究分担者 |
松崎 益徳 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (60116754)
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キーワード | 虚血性心疾患 / 冠動脈ステント / 光干渉断層法 / 動脈硬化 |
研究概要 |
虚血性心疾患患者に対して薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈ステント留置術が治療の主流となっている。しかしながら年率約0.2%の頻度でステント血栓症の発症が報告されており懸念事項となっている。抗血小板薬の2剤併用療法はステント血栓症の発症予防に有用であるが、ステント留置術後いつまで継続する必要があるのか、非心臓手術時に安全に休薬できるか、個々の患者で判断する必要があり、新たな指標が必要とされている。本研究はOCTの3次元再構成法と組織性状のカラーマッピングを用いて、ステント血栓症のリスクを階層化できる新たな分類法を確立し、日常臨床に応用できるようなソフトウェアを開発することを目的とする。 平成23年度はステント留置後のOCT3次元再構成画像からステント被覆程度の新たな分類法を考案し、従来の定量解析を比較し良い相関があることを示した。また3次元OCT画像を構築する上で必要なソフトウエアの試作を行った。これにより検査中もしくは検査後数分で3次元画像を作成しステントの状態を把握することが可能となった。 平成24年度は異なる2種の薬剤溶出ステントの臨床データを取得し、留置後の新生内膜の被覆程度をOCT3次元再構成画像で評価した。OCT3次元再構成画像ではバイオリムス溶出ステント、エベロリムス溶出ステントともに留置後1年後の新生内膜被覆状態は良好であった。また新生内膜の被覆程度だけでなく血管内の微細構造も評価できた。 またOCT画像から組織性状を評価し、3次元OCT画像上にカラーマッピングする仕組みに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、3次元再構成画像上でステントストラットの被覆状態を分類する方法を考案し定量解析法と良い相関があることを示した。この方法を用いてエベロリムス溶出性ステント留置後の血管内腔表面の治癒状態を評価できることを示した。ステント検出を自動化するソフトウエアを開発し、3次元OCT作成にかかる時間を大幅に短縮した。それにより日常臨床で3次元OCTでステントを評価できることを報告した。 2種類の異なるステント(シロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステント)間で留置後の血管壁の治癒過程に差があるか3次元OCTを用いて、検討する予定であったが、シロリムス溶出性ステントが使用出来なくなった。このためバイオリムス溶出性ステントとエベロリムス溶出ステントで比較した。以上からおおむね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、エベロリムスおよびバイオリムス溶出ステントで留置後1年目のOCT画像を引き続き取得し、3次元OCT分類でステント留置後の血管内腔表面の治癒状態を評価できるか検証する。また、OCT画像から組織性状を評価し、3次元OCT画像上にカラーマッピングするソフトウエアを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集用にOCTカテーテルを購入予定であったが、平成25年度からステント留置後慢性期の評価が保険償還されたこと、予定よりも他病変の治療の際に保険償還内で該当病変のOCT画像を取得できたことなど、順調にデータ収集がすすんだため、OCTカテーテルの購入本数を減らすことが出来た。繰り越した費用と平成25年度に計上した費用を合わせて、組織性状評価のソフトウエアの開発費用や本研究の成果を学会発表、論文発表する費用とする予定である。
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