研究課題
虚血性心疾患患者に対して薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈ステント留置術が治療の主流となっているが、年率約0.2%の頻度でステント血栓症の発症が報告されており懸念事項となっている。抗血小板薬の2剤併用療法はステント血栓症の発症予防に有用であるが、ステント留置術後いつまで継続する必要があるのか、非心臓手術時に安全に休薬できるか、個々の患者で判断する必要があり、新たな指標が必要とされている。本研究はOCTの3次元再構成法と組織性状のカラーマッピングを用いて、ステント血栓症のリスクを階層化できる新たな分類法を確立し、日常臨床に応用できるようなソフトウェアを開発することを目的とする。これまでステント留置後のOCT3次元再構成画像からステント被覆程度の新たな分類法を考案し、従来の定量解析を比較し良い相関があることを示した。バイオリムス溶出ステント、エベロリムス溶出ステントの臨床データを取得し、留置後の新生内膜の被覆程度をOCT3次元再構成画像で評価した。両ステント共、留置後1年後の新生内膜被覆状態は良好で組織被覆スコアも同等であったが、3次元OCTではエベロリムス溶出ステントの方がより平滑な血管内腔を呈していることがわかった。平成25年度はOCT画像から組織性状を評価し、3次元OCT画像上にカラーマッピングする仕組みに着手した。心筋梗塞の責任病変となる動脈硬化は病理学的には薄い線維性皮膜で覆われた脂質に富んだプラークとされており、近年、薬剤溶出ステント留置後の遠隔期にも同様のプラークが見られることが報告され、晩期のステント関連イベントに関係していることが報告されている。OCTのRawデータを用いて薄い線維性皮膜を検出するアルゴリズムを開発した。さらに3次元再構成画像上にカラー表示することにより、血管のどの部分にそのようなプラークがあるか把握するソフトウエアを開発した。
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