研究課題
目的:拡張型心筋症における心血管事故と既知の候補遺伝子多型との関連を探索し,リスク層別化が可能かどうかを明らかにすることである.方法:対象は拡張型心筋症の83名である.拡張型心筋症との有意な関連が報告されたβ1アドレナリン受容体遺伝子多型であるADRB1 Ser49Gly, Arg389Glyとノルエピネフリントランスポーター遺伝子多型であるNET T-182Cの計3多型をTaqMan法で解析した.各遺伝子多型と心血管事故との関連性の検討した.現在までの報告でリスク多型(ADRB1 49S保持者,389Arg保持者,NET -182C/C)とされた遺伝子多型の保持数と心血管事故との関連を解析した.結果:各種遺伝子多型単独での解析においては,NET -182CC遺伝子多型の頻度が心血管事故発症群で有意(P=0.04)に高かったが,他の遺伝子多型では有意差はなかった.Kaplan-Meier法でリスク遺伝子多型の保持数と心血管事故発症との関連を解析したところ,リスク遺伝子多型を3個すべて保持する群では,心血管事故の発症が有意に高かった.Cox比例ハザードモデルにおいても3個のリスク遺伝子多型をもつことは,3.98倍の心血管事故オッズ比であった.結論:拡張型心筋症において3種のアドレナリン受容体関連遺伝子多型を解析することは,心血管事故発症のリスクの層別化に有用な可能性が示唆された.上記論文をOgimoto A, et al. Impact of synergistic polymorphisms in adrenergic receptor-related genes and cardiovascular events in patients with dilated cardiomyopathy. Circ J 2012; 76: 2003-2008.に誌上発表した.
3: やや遅れている
候補遺伝子多型解析は順調にすすんでいる.網羅的遺伝子多型解析については,DNAチップを一括購入したほうが,安価となるため,解析を最終年度にまとめて行う予定であったため,まだ解析できていない.
特発性心筋症を対象にGenome-Wide Human SNP Array 5.0を用いて,網羅的遺伝子解析を施行する予定である.さらに当院に次世代シーケンサーであるMiSeq(illumina社)が導入されたこともあり,特発性心筋症に対する原因遺伝子解析を網羅的に施行できるTruSight(Cardiomyopathy)を購入し解析予定である.この解析により特発性心筋症の予後の層別化をより信頼性の高いものにしたい.
当院に次世代シーケンサーであるMiSeq(illumina社)が導入されたこともあり,特発性心筋症に対する原因遺伝子解析を網羅的に施行できるTruSight (Cardiomyopathy)を購入する予定である.この解析により特発性心筋症の予後の層別化をより信頼性の高いものにしたい.また,ゲノムデータ解析用のソフト購入,研究成果発表と最新の情報入手のための学会出張費用に使用させていただく予定である.
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