研究課題
特発性心筋症などの心不全患者を対象として,ゲノムワイド関連解析研究(GWAS)の情報を用いて,その心血管事故発症のリスク層別化の可否を検討すること,候補遺伝子解析では評価不能であった未知の病態修飾遺伝子を探索し,新たな治療標的を探究することが目的であった.主な2つの成果についてその概要を記載する.(1)149名の肥大型心筋症患者に対して,GWASで刺激伝導障害との関連が報告されているSCN10A遺伝子多型 (rs6795970 (G>A))の解析を行った.伝導障害を認めない患者をA群 (92名),認める患者をB群 (57名)とした.肥大型心筋症患者の遺伝子型の頻度 (G/G,G/A,A/A) は各々71%,26%,3%であった.伝導障害頻度はG/G遺伝子型で29%,G/AおよびA/A遺伝子型で61%であった.A群と比較してB群ではG/A,A/A遺伝子型頻度が有意(p=0.0018)に高いことが判明した.肥大型心筋症患者でこの遺伝子多型を解析することは,心血管事故のリスク層別化の一助になる可能性が示唆された.(2)172人の心不全患者に対して,GWASのメタ解析で心房細動の感受性遺伝子であった10個の遺伝子多型を解析し,心房細動(AF)の有無とgenotype risk score(GRS,リスクアレル2個保持=2点,リスクアレル1個保持=1点,リスクアレル保持なし=0点,10個の遺伝子多型の累積点数)を検討した.AF群のGRSはSR群に比べ,有意に高かった(7.2±0.2 vs 6.5±0.3, p=0.028).GRSの上位群の89%がAFを有し,下位群においては66%のみであった.AFに対するオッズ比は1.23(95%CI 1.01-1.47; p=0.031)であった.調整後もGRSは独立した規定因子であった(p=0.044).このGWASのメタ解析で示された10個の遺伝子多型のGRSを評価することが,心不全患者におけるAF発症のリスク層別化として有用な方法であることが示唆された.
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