研究概要 |
平成23年度は下記の2つの点でそれぞれ成果をあげた。肥大型心筋症の病因遺伝子解析では、約200名の本症患者のDNAサンプルを取得し、現在5つのサルコメア遺伝子について変異のスクリーニングを行っている。平成23年度に報告した研究実績では、本邦では初となる重複遺伝子変異について英文医学雑誌に報告した(Kubo T, et al. Circ J 2011;75:2654-2659)。また、多施設共同で行われた遺伝子解析の結果では、我が国における家族性肥大型心筋症家系のサルコメア遺伝子変異の頻度とその分布を明らかにした(Otsuka H, et al. Circ J 2012;76:453-461)。肥大型心筋症の臨床病型の評価では、主にバイオマーカーを用いた検討を行った。肥大型心筋症における心筋傷害の評価として血清心筋トロポニンI値に注目し、脳性ナトリウム利尿ペプチドと組み合わせることにより本症の心血管イベント予測に有用であることを示した(Kubo T, et al. Circ J 2011;75:919-926.)。また、メタロプロテナーゼ値と左室リモデリング進行について解析を行い、細胞外マトリックス分解からみた左室リモデリングの意味について検討を行った(Kitaoka H, et al. J Cardiol 2011;58:261-265)。さらに、テネシンC値が心不全イベントに有用であることについても報告を行った(Kitaoka H, et al. J Cardiol 2012;59:209-214)。心臓超音波検査で得られたデータからは、肥大型心筋症の予後予測に組織ドプラが有用であることを報告した(Kitaoka H, et al. J Am Soc Echocardiogr 2011;24:1020-1025)。
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