研究概要 |
平成25年度は下記の点でそれぞれ成果をあげた。 肥大型心筋症の病因遺伝子解析では、約230名の本症患者のDNAサンプルを取得し、現在5つのサルコメア遺伝子について変異のスクリーニングを行っている。平成25年度も新規の病因遺伝子変異が同定され、遺伝子型と臨床病型との関連性について今後の検討に使用していく予定である。また、遺伝子変異を有する心肥大患者は心血管イベントが多いことを多施設共同研究の一員として医学英文誌に発表した(Fujita T, Fujino N, Anan R, Tei C, Kubo T, et al. JACC Heart Fail 2013;1:459-66)。 肥大型心筋症の臨床病型の評価では、心臓超音波検査とバイオマーカーを用いた検討を行った。肥大型心筋症では、症状が無いあるいは軽微である患者も少なくないが、これらの患者における予後の解析を行い、心臓超音波検査で得られる組織ドプラデータが予後推測に有用であることを明らかにした(Kitaoka H, Kubo T, et al. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2013;14:544-9)。また、心筋傷害のバイオマーカーである高感度心筋トロポニンTは、本症患者の心血管イベントに有用であることを医学英文誌に発表した(Kubo T, et al. J Am Coll Cardiol 2013;62:1252-9)。さらに、この高感度心筋トロポニンTは、肥大型心筋症と肥大型心筋症様の心肥大を呈する蓄積性心疾患との鑑別に有用であることを第61回日本心臓病学会学術集会で発表した。また、左室流出路圧較差を生じる肥大型心筋症例の同定に、血管内溶血のバイオマーカーである赤血球内クレアチン測定が有用であることを第78回日本循環器学会学術集会にて発表を行った。
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