研究課題/領域番号 |
23591049
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
久保 亨 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80325422)
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研究分担者 |
土居 義典 高知大学, 医歯学系, 教授 (90140144) [辞退]
北岡 裕章 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (10274375)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 肥大型心筋症 / 遺伝子 / 臨床病型 / 予後 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
平成26年度は下記の点でそれぞれ成果をあげた。 肥大型心筋症の病因遺伝子解析では、約240名の本症患者のDNAサンプルを取得し、現在6つ(昨年度までに加えて心筋アクチン遺伝子も解析開始)のサルコメア遺伝子について変異のスクリーニングを行っている。平成26年度も心筋アクチン遺伝子変異を含む新規の変異が同定され、遺伝子型と臨床病型との関連性について今後の検討に使用していく予定である。このような中で、心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子変異を有する患者を対象に、臨床病型に修飾を与える因子として性差について検討したところ、女性患者では男性患者に比べると心肥大発現年齢は遅いものの診断時の心不全症状は強く、また診断後の心不全イベントが多いことが明らかとなり医学英文誌に発表した(Terauchi Y, Kubo T, et al. J Cardiol 2014)。同一原因遺伝子による遺伝コホートの中で性差がみられることはこれまでにほとんど報告が無く、病態形成機序の解明につながる可能性がある。 また、肥大型心筋症の臨床病型についての検討では、予後不良とされる拡張相肥大型心筋症において、左室サイズが小さいことと僧帽弁閉鎖不全症の存在が予後に大きく影響していることを、第62回日本心臓病学会学術集会で発症した。さらに、肥大型心筋症様心肥大を呈していた蓄積疾患であるファブリー病について医学英文誌に報告を行った(Ochi Y, Kubo T, Kitaoka H. Heart 2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病因変異スクリーニングは軌道にのっており、予定どおり遺伝子解析を施行できている。また、臨床病型の評価としては、バイオマーカーや心エコー指標を用いた診断と予後予測の方法に関して成果があげられている。さらに、病態修飾因子について性差に着目し、その病態に及ぼす影響についても発表できており、今後の発展性に期待がもてる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き肥大型心筋症の遺伝型評価と臨床病型評価を行い、これらをリンクさせた病態評価に取り組んでいく予定である。
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