研究課題/領域番号 |
23591050
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
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研究分担者 |
挽地 裕 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90380774)
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キーワード | 心外膜下脂肪組織 / 内臓脂肪組織 / 皮下脂肪組織 / 心筋細胞 / 脂肪毒性 / メタボリックシンドローム / 肥満 / 心不全 |
研究概要 |
前年度の脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性機構を解析した。1)アディポカインであるレプチン、アディポネクチンでは脂肪毒性を誘導できないので、遊離脂肪酸を検討した。脂肪組織に多いパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸を検討した。オレイン酸やリノール酸では、心筋細胞に脂肪毒性は誘導できなかった。パルミチン酸では心筋細胞の脂肪滴沈着、増殖を軽度に促進しが、脂肪組織誘導性の脂肪毒性は再現できなかった。2)前年度の研究によりFATP-4, CD36が、脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性に関与する可能生が示唆されたので、上記分子の抗体による脂肪毒性阻害実験を行った。しかし、脂肪組織誘導性の脂肪滴沈着、細胞死を阻害できなかった。3)一方、心筋細胞は、脂肪組織からの間葉系細胞の再生を抑制した。特に、前脂肪細胞や間葉系幹細胞の再生が抑制された。以上、脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性はアディポカイン、遊離脂肪酸、脂肪酸輸送分子単独では、再現きないことが明らかになった。これらや他の分子の複合的な作用による可能生が考えられ、さらに検討する予定である。また、心筋細胞は、脂肪組織からの前脂肪細胞、間葉系幹細胞の再生を抑制し、脂肪組織誘導性の脂肪毒性を回避している可能生が示唆された。この点を、さらに検討する予定である。今年度は、酸化ストレス、小胞体ストレスの検討ができなかったので、次年度に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性は、アディポカイン、脂肪酸、脂肪酸輸送分子単独では再現できないことが明らかになった。この結果は、上記分子の複合的な作用が脂肪毒性に関与していることが示唆される。さらに、上記分子以外の分子が関与していることが、示唆される。脂肪毒性機構のおおむねの結果は達成されたが、さらに小胞体ストレス、酸化ストレス分子の関与を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性は、複合的な機構と考えられる。また、小胞体、酸化ストレス分子を標的とする分子の関与が推測される。それ故に、脂肪毒性機構を解明するために、上記分子の複合的な作用と標的分子の探索を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験を遂行するための設備は完備されているので、消耗品が必要である。マウス、ラット、培養に必要な消耗品、抗体、ELISA、Western blot、PCR。cDNA microarrayに必要な消耗品である。
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