研究概要 |
平成23-24年度の研究で、1)心外膜下、皮下、内臓脂肪組織が、心筋細胞の脂肪毒性を誘導すること、2)脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性は、アディポカインであるレプチン、アディポネクチンでは脂肪毒性を誘導できないこと、3)遊離脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸は心筋細胞の脂肪毒性を誘導できないが、パルミチン酸は心筋細胞の脂肪滴沈着、増殖を軽度に促進するが、脂肪組織誘導性の脂肪毒性は再現できないこと、4)脂肪組織が脂肪酸輸送分子であるFATP-4, CD36の発現を心筋細胞で促進すること、5)しかし、FATP-4, CD36抗体処理実験では脂肪組織誘導性の脂肪滴沈着、細胞死を阻害できないこと、6)一方、心筋細胞は、脂肪組織から前脂肪細胞や間葉系幹細胞の再生が抑制されることを解明した。以上結果をもとに、平成25年度は、脂肪毒性機構を解明するために酸化ストレス、小胞体ストレスを検討した。酸化ストレス分子である8-OHdG、4-HNEの軽度の促進が見られたが、酸化ストレスシグナルであるNF-κB、ERK-1/2の有意の変化見られなかった。また、小胞体ストレス分子であるIRE1α、JNK, PERK, eIF2α、ATF6αには有意な変化は見られなかった。以上のことより、脂肪組織誘導性の心筋細胞脂肪毒性には、小胞体ストレス分子より、8-OHdG、4-HNEなどの酸化ストレス分子の関与が示唆された。今後も、脂肪毒性機構の解明するために、研究を継続する予定である。
|