研究課題/領域番号 |
23591053
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
北 俊弘 宮崎大学, 医学部, 講師 (70315365)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アドレノメデュリン / 末梢動脈疾患 / 末梢血単核球移植 / 血管新生 |
研究概要 |
末梢動脈疾患による重症下肢虚血の治療には限界があり、特に血行再建術の対象とならない患者への治療法は確立していない。我々は、このような患者に対して、末梢血単核球移植術とアドレノメデュリン投与を併用する治療法について研究を行っている。研究をよりスムーズに行うため、まず末梢動脈疾患による重症下肢虚血に対する末梢血単核球移植術を実施できる高度医療実施施設の承認を取得した。アドレノメデュリンの併用効果を厳密に検討するため、アドレノメデュリンとプラセボを用いた二重盲検法を採用し、末梢血単核球移植術とアドレノメデュリン持続静注併用治療の有効性、安全性評価のための臨床試験をスタートした。倫理委員会の承認後に、アドレノメデュリンとプラセボの試験薬の製造を完了し、試験体制は整った。その後、10名以上の候補患者にスクリーニング検査を実施するも、種々の理由により試験に組入れ可能な対象者が得られず、現在患者募集方法を再検討している。なお、末梢血単核球移植単独療法やアドレノメデュリン皮下注、同静注療法を実施した患者は、すべて1年間の経過観察を終了しており、特に問題となる副作用は出現していない。また、移植用の末梢血単核球の遺伝子解析方法や項目についても適宜検討を続けている。患者の追跡調査で、当院で実施した末梢動脈疾患による重症下肢虚血への末梢血単核球移植術においても、一定の効果があることが確認できた。ただし、一部の患者では効果が持続せず、アドレノメデュリン併用による末梢血単核球移植術の有効性向上への期待は大きい。一方で、同じ投与方法で行っている潰瘍性大腸炎患者に対するアドレノメデュリン持続静注療法の患者数は順調に増えており、アドレノメデュリン持続静注の安全性に関してはほぼ確立したと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プロトコールの再検討と倫理委員会の審査を終えて、二重盲検用のアドレノメデュリンとプラセボ製剤は予定人数分の製造が終了し、臨床試験実施体制は整っている。ただし、高度医療実施施設の承認申請から実際の承認が下りるまでに、かなりの期日を要し、この間は臨床試験を控えざるを得ない状況となった。また、病院再整備に伴い、輸血部(末梢血単核球採集に利用)の工事もこの期間に実施された。その後、種々の施設から患者募集を行い、10名以上にスクリーニング検査を実施したが、厳密な実施要件を満たす患者は得られず、臨床試験は後れをきたしている。今後、患者募集の方策を再検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、臨床研究を実施していき、なるべく目標症例数を達成すべく、努力していきたい。従来、患者募集は循環器内科医を中心に行っていたが、加えて、血管外科医、整形外科医、皮膚科医、糖尿病専門医等にも対象を広げて行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床研究プロトコールは確立されたものであり、現在のところ変更の予定はない。当初の計画に沿って、患者のリクルートを継続していく。
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