研究課題
心電図による睡眠時無呼吸の診断精度を一般集団で検証した。トラック運送業の全男性社員165名(43±12歳)を対象に、一晩の標準睡眠ポリグラフ検査を実施した。著者らの開発したアルゴリズム(auto-correlated wave detection with adaptive threshold、ACAT)を用いて、心電図のR-R間隔変動から、睡眠時無呼吸にともなう特徴的な心拍数変動パターンである心拍数周期性変動(CVHR)を検出し、睡眠ポリグラフによる無呼吸低呼吸指数(AHI)との関係を調べた。165名の内、62名(38%)でAHI≧5、26名(16%)でAHI≧15、16名(10%)でAHI≧30の睡眠時無呼吸が見られた。1時間あたりのCVHRの個数(CVHR index)は、AHIと高い相関を示した(r = 0.868、95%CI: 0.825-0.901)。CVHR indexによるAHI≧5、≧15、≧30の睡眠時無呼吸の検出力についてのROCカーブのAUCは、0.796 (95 % CI: 0.727-0.855)、0.974 (0.937-0.993)、0.997 (0.971-0.999)であった。以前の研究で得られた診断基準CVHR index≧15を用いると、AHI≧15の睡眠時無呼吸は感度88%、特異度97%、陽性および陰性尤度比37.7および0.12で検出された。 CVHR indexによる睡眠時無呼吸の検出力は、肥満、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常、自律神経機能障害の有無で分けたサブグループでも保持された。
2: おおむね順調に進展している
CHVRによる睡眠時無呼吸検出力の一般集団における検証が終了し、現在、心疾患群における予後予測力の検討を進めており、ほぼ計画通りの成果が上がっている。
急性心筋梗塞後の24時間心電図から計測されたCVHRとその後の死亡リスクとの関連、24時間心電図の大規模データベース(20万件)についてのCVHRの分析による、睡眠時無呼吸の年齢、性別、季節変動、地域差の検討を行う。
大規模データベース(20万件)の分析に対応するべく、コンピュータパワーの増強に約200万円、消耗品に約50万円の支出を計画している。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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