研究課題
我々は、ニコチンからコチニンへの代謝に関与するCYP2A6遺伝子多型やα4ニコチン型アセチルコリン受容体多型がニコチン依存度に関連することを見出した。しかしながら、こうした遺伝子多型の差異と血管障害度の関連性は明らかではないため、検討を行った。また、血管内皮NO産生能にThrombospondin-1(TSP1)が関与しており、TSP1の喫煙による血管障害度への関与の検討を行った。禁煙を目的に禁煙外来を受診した連続212例を対象に検討を行った。TSP1血中濃度は212例中72例において再計測を行った。2度の計測の平均は、禁煙前1.80±1.49ng/ml、禁煙5か月後1.74±1.77ng/mlであり、有意な変化はなかった(p=0.684)。そこで、①禁煙成功群のみで検討、②禁煙に成功した男性群のみでの検討、③禁煙に成功した女性群のみでの検討、④禁煙補助薬バレニクリンを用い禁煙に成功した群のみでの検討、と詳細に解析を実施したが、いずれの群においてもTSP1血中濃度は禁煙前後で有意差を認めなかった(①p=0.751、②p=0.573、③p=0.797、④p=0.631)。そこで、血管内皮NO産生に関連するVEGFについても検討した。73例で検討を行い、TSP-1と同様に、73例全体と上記①②③④の各群で詳細に検討を実施したが、いずれの群でも有意差はなかった(全体p=0.789、①p=0.807、②p=0.630、③p=0.898、④p=0.738)。喫煙による血管障害に炎症が関与する観点から、IL-6についても検討を行った。58例にて検討を行い、TSP-1と同様に、58例全体と上記①②③④の各群で詳細に検討を実施したが、いずれの群でも有意差は示されなかった(全体p=0.671、①p=0.665、②p=0.720、③p=0.534、④p=0.639)。
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