研究課題/領域番号 |
23591057
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
江原 省一 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90382150)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 急性冠症候群 / 血栓 / 核磁気共鳴画像 / 光干渉断層像 / 不安定プラーク |
研究概要 |
動脈硬化とそれに基づく病的血栓形成を主因とする心筋梗塞、脳梗塞発症の予知・予防は世界的に重要な課題である。予知するためには血液情報や非侵襲的な画像診断法の確立が必要であることはいうまでもない。われわれは近年進歩の著しい心臓核磁気共鳴画像(MRI)を用いて不安定プラーク同定の可能性を研究し、本年その成果を論文に発表することができたので報告する。 冠動脈に経皮的冠動脈形成術(PCI)が必要な有意狭窄が証明されている狭心症患者を対象に、T1強調black blood whole heart MRIを撮像し、冠動脈責任病変が高信号を呈するプラークと呈さないプラークに分類した。翌日PCIの際、冠動脈血管内イメージングである光干渉断層法(OCT)にて責任病変を観察し、血栓、脂質、fibrous cap、プラーク破裂像、石灰化などの存在と高信号プラークを比較検討した。その結果、MRI上の高信号プラークは血管内血栓ともっとも強く関連していることが示され、そのことを論文に発表した(Ehara S, et al. Eur Heart J Cardiovasc imaging, 2012)。 またもう一つの課題である冠動脈MR angiography(MRA)を用いた血管拡張薬の冠動脈面積、および冠動脈血流に及ぼす影響に関する研究も順調に進んであり、論文提出段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T1強調black blood whole heart MRIを用いた不安定プラーク同定に関する研究は、当初の予定通り、その特徴をすでに論文発表できた。今後は、その知見をもとに、臨床上どのように役立ち、どのような意義があるかについて研究を進めていく予定である。 またもう一つの課題である冠動脈MR angiography(MRA)を用いた血管拡張薬であるナトリウム利尿ペプチドとニトログリセリンの冠動脈面積、および冠動脈血流に及ぼす影響に関する研究もほぼ完了しており、今後はデータ解析、論文執筆の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのデータを学会発表や論文報告を通じて他者の目から批判いただき、さらなる新しい方向性を見つけ出すことが重要と考えております。自らも臨床の現場でどのように有益性があるのか検討するstudyを現在進行中であります。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで蓄積してきた膨大なデータ保存ディスクや解析するためのソフトがこれまで以上に必要となります。さらに、次年度はこれまでの結果を発表する機会を増やし、成果を共有し、さらには批判をいただき今後の新しい方向性発見につなげるため積極的な学会活動に研究費を使用したいと考えております。
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