研究課題
食生活の欧米化や運動不足による肥満を基礎とした、高血圧、耐糖能異常、脂質代謝異常を伴ったメタボリックシンドロームの台頭により、動脈硬化病変とそれに基づく病的血栓形成を発症原因とする急性冠症候群(ACS; acute coronary syndrome)や脳梗塞などの心血管イベントの予知因子の解明は世界的に重要な課題である。冠動脈に形成される内膜の肥厚性病変はプラークと呼ばれ、時に不安定化しACS発症の主病因であると考えられている。われわれは近年進歩の著しい心臓核磁気共鳴画像(MRI; magnetic resonance imaging)、およびMR血管撮影(MRA; MR angiography)を用いて、非侵襲的に冠動脈内腔、プラーク、および血流情報を得ることに成功している数少ない施設である。さらにわれわれの施設の特徴は、MRIにより得たプラーク情報を侵襲的ではあるものの臨床使用上その安全性・有用性が確立している血管内光干渉断層映像(OCT; optical coherence tomography)と比較検討できることにより、より詳細にMRIによる不安定プラークの非侵襲的同定法の解析が可能なことにある。T1強調MRIにて高信号を呈した冠動脈プラークはOCT上の血栓、脂質コア、新生血管、および炎症細胞であるマクロファージに代表される不安定プラークの特徴と強い相関を呈することを示し、学会報告、および論文への掲載を行った。さらに、MRAを用いて、心不全患者治療薬である心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、およびニトログリセリン(NTG)の冠動脈血管径、および冠動脈血流に及ぼす影響を検討し、ANPは心拍数などに影響を与えず、NTGと同等の冠動脈拡張作用を有することを明らかにし、すでの論文掲載された。これらの研究結果を踏まえ、現在対象患者を広げ、さらに詳細なT1強調MRIにて高信号を呈した冠動脈プラークの特徴の解析を行い、ACS発症予知への基礎データを集積している。
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