研究課題/領域番号 |
23591061
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
庭野 慎一 北里大学, 医学部, 准教授 (70282978)
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研究分担者 |
庭野 裕恵 北里大学, 医学部, 助教 (00293233)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Kv1.3 / Kir2.1 / 電気的リモデリング / 構造的リモデリング / 心不全 / 不整脈 |
研究概要 |
ラット心筋組織に移植するための線維芽細胞ラインを作成中である。レトロウイルスベクターシステム(pDON-5Neo)を使用し、Kv1.3とKir2.1を移入するためのベクターを作成した。移植用の線維芽細胞株は、移植後の生着率を考慮し、2種類用意した。一つはマウス線維芽細胞株(NIH-3T3)であり、もう一方はラット線維芽細胞株(NRK)である。実験後半においていずれの細胞株を用いるかは、生着率と電気生理学的変化の程度によって決定する予定である。NIH-3T3とNRKに対するチャネルの発現は、RT-PCRおよびWestern blottingによりすでに確認した。細胞内局在は、現在免疫染色によって確認中である。Kv1.3移入線維芽細胞の移植については、正常Lewisラットをペントバルビタール麻酔下に左側側開胸し、露出した左心室表面に26G針で注入する方法を用いる。なお、Kv1.3移入細胞の移植による心不全や不整脈の治療効果を検証するためのモデルとしては、当初自己免疫性心筋炎ラットモデル(Lewisラット)を想定していたが、急性期に重度の心不全を来すために死亡率が高くなることを懸念し、イソプロテレノール短期・間欠的投与による心不全モデルに変更して採用する予定である。本モデルは、既報により、電気的リモデリングが主体で、構造的変化の少ない心不全が誘発されることが示されている。心筋へのKv1.3移入線維芽細胞の心不全および不整脈の治療効果は、移植部心筋の電気生理学的特性変化、不整脈誘発性、組織学的変化、ならびに心臓超音波による心機能評価等で検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植用の線維芽細胞の設計およびラインの作成は概ね順調であるが、移植対象とするラットモデルを変更する方針を採用したことから、マクロ的な評価、手術手技の確認等、具体的な手順に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
移植のためのKv1.3+Kir2.1移入線維芽細胞株は順調に作成されているので、これを(1)正常ラットへ移植し、移植の方法を検証する、(2)心不全モデルへ移植し治療効果を確認するステップを各々予定している。それぞれに計画年度2年目、3年目を充当することで、概ね計画通りの進行が期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね当初の計画通りである。細胞株ラインの維持、チャネル発現確認のための試薬・抗体の購入、移植先となるラットの購入と飼育、などの費用へ使用することを予定している。
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