研究課題/領域番号 |
23591067
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40324157)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | アポトーシス / DNase I / 心不全 |
研究概要 |
(1)新生児ラット培養心筋細胞を用いたDNase Iによるアポトーシス誘導効果の確認:現在、研究準備中である。(2)心筋梗塞患者の急性期と慢性期における大動脈(A0)と冠静脈洞(CS)のDNase I活性の差(ΔDNase I)と左室リモデリングとの相関の研究:上記の研究でDNase Iによる心筋アポトーシス誘導効果が確認され次第着手する。(3)心不全患者から詐取した心筋生検標本を用いて、組織化学的検査にてアポトーシスを検出し、さらにアポトーシスの程度とΔDNase Iとの相関を調べる。:57例の原因不明の心不全患者に対して心筋生検は行ったが、組織標本でのアポトーシス検出の研究は準備中である。これらの患者でAOおよびCS採血からそれぞれ血清DNase I活性を測定した。血清DNase I活性について(CS-AO)/CS×100%の計算式で変化率を算出したところ、変化率が負の値かつ有意に変化(変化率が12.4%以上)している、すなわちDNase Iが心筋に取り込まれていると考えられる群(CS-AO -群:n=15)、CS-AOが正の値かつ有意に変化している、すなわちDNase Iが心筋から分泌されていると考えられる群(CS-AO +群:n=19例)に分けられた。この2群で心不全患者の臨床像を比較すると、BNP、左室駆出率はCS-AO -群がそれぞれ303±270 pg/ml、47.7±14.8%、CS-AO +群が377±845 pg/ml、47.5±20%と両群に差を認めなかった。心筋のミトコンドリア機能障害を反映する、Tc99m MIBIのwashout rateはそれぞれ25.3±11.3%、20.7±11.0%で統計学的有意差を認めなかったが、CS-AO -群がCS-AO +群に比し高値の傾向があり、DNase Iが心筋のアポトーシスに関与している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究室が手狭になり、研究室を改造中で培養実験に使用するCO2インキュベーターをH23年度中に搬入することができず、計画していた新生児ラット培養心筋細胞を用いてDのNase Iによるアポトーシス誘導実験の開始が遅れている。したがって、心筋細胞でのDNase Iによるアポトーシス誘導効果が確認できないため、急性心筋梗塞患者による臨床研究も行えていない。一方、心不全患者からの冠静脈洞(CS)および大動脈(AO)からの同時採血とそれを用いての血清DNase I活性測定は終了している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究室の整備ができ次第、CO2インキュベーターを購入し、(1)新生児ラットから心筋細胞を培養し、DNase Iがアポトーシスを誘導するか確認する。(2)倫理委員会で承認後、急性心筋梗塞患者よりCSおよびAOから採血を行い、血清DNase I活性を測定する。(3)心不全患者の心筋組織標本でアポトーシスの程度を調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度年度の研究費をCO2インキュベーター、ラット、試薬・物品の購入に充てる。
|