研究課題
1、新生児ラット培養心筋細胞を用いたDNase Iによるアポトーシス誘導効果の確認:培養心筋細胞にさまざまな濃度のウシ膵臓由来DNase Iを加え、24時間培養し、DNAラダーによるアポトーシス誘導効果を調べたが、有意なアポトーシス誘導効果を認めなかった。したがって予定していた2、心筋梗塞患者の急性期と慢性期において大動脈(AO)と冠静脈洞(CS)での同時採血を行い、AOとCSのDNase I活性の差(⊿DNase I)と左室リモデリングの相関を検討する研究を断念した。3、心不全患者から採取した心筋生検標本を用いて、組織化学的にアポトーシスを検出し、さらにアポトーシスの程度と心不全患者における⊿DNase Iとの相関を調べる研究:この研究でもアポトーシスの程度と⊿DNase Iの間には有意な相関は認められなかった。以上の結果から心疾患における明らかなDNase Iのアポトーシス誘導効果は、確認できず、H24から以下の新たな研究を開始した。4、冠れん縮性狭心症患者における酸化ストレスの検討:申請者らはこれまで、冠れん縮性狭心症患者において冠れん縮誘発試験後に一過性にDNase I濃度が上昇することを報告している(Eur Heart J. 2007; 28: 2992-2997)。酸化ストレスは、冠れん縮の原因となる血管内皮機能障害を引き起こすことが知られており、酸化ストレスマーカーの一つであるニトロチロシン(NT)濃度の冠れん縮誘発試験後の変化を調べた。NT濃度は、冠攣縮陽性群において誘発試験前(8.1±3.2 μg/ml)より、3時間後(11.3±3.3 μg/ml)、12時間後(12.1±5.7 μg/ml)で有意に増加した(対3時間後、P=0.015、対12時間後、P=0.03)。以上よりNTが、冠れん縮後に上昇し、冠れん縮性狭心症の病因の一つであることが示唆された。
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Journal of Cardiology
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10.1016/j.jjcc.2013.11.017.