研究課題
MURCのカベオラの形態に対する作用を検討するため、心筋細胞のカベオラのサイズを心臓にMURCを過剰発現させたトランスジェニック(MURC-Tg)マウスと野生型(WT)マウスで比較検討したところ、MURC-TgマウスではWTマウスに比べカベオラのサイズが増大しておりMURCがカベオラの形態を制御していることを見出した。次に、心筋細胞のカベオラに集積していることが示されているβ1受容体やα1受容体とMURCの局在を検討したところ、MURCがβ1受容体やα1受容体と心筋細胞の細胞膜で共局在していることを明らかにした。さらに、MURCを培養心筋細胞においてMURCをknockdownするとβ1受容体やα1受容体を介したシグナルが抑制されることを見出した。これまでに我々は、coiled-coil domainを欠失させたMURC (MURCΔCC)は、培養心筋細胞の細胞膜に局在しなくなることを見出している。MURCΔCCの生体内での作用を検討するためにMURCΔCCを心臓に過剰発現するトランスジェニック(MURCΔCC-Tg)マウスを作出し、生体内でのMURCΔCCの局在について検討を行ったところ、培養心筋細胞と同様に細胞膜への局在がカベオリン-3と共に損なわれ、著明な心機能低下と心室内伝導障害を呈することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
MURCが心筋細胞の細胞膜上に局在することが、心筋細胞の機能を維持するのに重要であることを明らかにできたため。
MURCのβ1受容体やα1受容体を介したシグナル伝達における役割とその分子機構を明らかにし、MURCによる生体恒常性維持および心疾患発症の分子機構の検討する。
実験に必要な消耗品の購入と研究領域の情報収集や研究成果の発表のための学会発表や論文投稿などに使用予定である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
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