伸展刺激感受性イオンチャネルの機能解析に基づく心筋症・心不全治療法の開発

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23591095
• 研究機関: 独立行政法人国立循環器病研究センター
• 研究代表者: 岩田 裕子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80171908)
• キーワード: 拡張型心筋症

研究概要

拡張型心筋症、筋ジストロフィー症など筋変性疾患には決定的な治療法がなく、また虚血や高血圧などに起因する重症心不全を治癒療する究極的な治療法はない。本研究ではこれらの筋変性疾患に共通する病態的特徴である持続的なCa2+濃度に着目し、それを起こす有力な候補蛋白質、伸展刺激感受性イオンチャネルの心筋における生理的、病態的意義を明確にするとともに、このチャネルが心疾患の有力な治療標的になることを確定することを目標としている。治療標的としての有効性を証明するためには、このチャネル活性を特異的に阻害した時に病態が改善するかどうか解明する必要があるが、現在のところこのチャネルの特異的な阻害剤はない。今回はこのチャネルが、ヒト拡張型心筋症や心筋症動物モデルでは細胞内膜系から形質膜に移動し、濃縮、活性化されることを示した。TRPV2のN末端ドメインの発現によりTRPV2の形質膜移行が抑制され、心筋症モデル動物における心筋収縮能の低下が抑えられ、生存率が改善するることが示された。これらの成果はCardiovas.Res.(2013)において、Editorialに取り上げられた。

研究成果

• [雑誌論文] Blockade of sarcolemmal TRPV2 accumulation inhibits progression of dilated cardiomyopathy (2013)
  • 著者名/発表者名: Iwata Y, Ohtake H, Suzuki O, Matsuda J, Komamura K, Wakabayashi S.
  • 雑誌名: Cardiovasc Res 巻: 99 ページ: 760-768
  • DOI: 10.1093
  • 査読あり
• [雑誌論文] Global metabolomic analysis of heart tissue in a hamster model for dilated cardiomyopathy. (2013)
  • 著者名/発表者名: Maekawa, K., Hirayama, A., Iwata, Y., Tajima, Y., Nishimaki-Mogami, T., Sugawara, S., Ueno, N., Abe, H., Ishikawa, M., Murayama, M., Matsuzawa, Y., Nakanishi, H., Ikeda, K., Arita, M., Taguchi, R., Minamino, N., Wakabayashi, S., Soga, T., Saito, Y.
  • 雑誌名: J. Mol. Cell. Cardiol. 巻: 59 ページ: 76-78
  • DOI: 10.1016/j.yjmcc.2013.02.008.
  • 査読あり
• [学会発表] Ca2+透過チャネルTRPV2の細胞膜局在の阻害により拡張型心筋症モデル動物の病態進行が抑制された。 (2014)
  • 著者名/発表者名: 岩田裕子、大武仁美、鎌内慎也、若林繁夫
  • 学会等名: 第87回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 仙台国際センター
  • 年月日: 20140321-20140321
• [学会発表] TRPV2 N末ドメインの高発現は、トロポニンT変異を持つ拡張型心筋症モデルマウスの症状を改善する (2014)
  • 著者名/発表者名: 鎌内慎也、岩田裕子、Cheng-Kun Du、Dong-Yun Zhan、森本幸生、白井幹康、若林繁夫
  • 学会等名: 第87回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 仙台国際センター
  • 年月日: 2014-03-20
• [学会発表] Ca2+透過チャネルTRPV2を標的とした拡張型心筋症・心不全新規治療薬を目指して (2013)
  • 著者名/発表者名: 岩田裕子
  • 学会等名: ジョイントリサーチプロジェクト第5回ミーティング
  • 発表場所: 国立循環器病研究センター
  • 年月日: 20131220-20131220
• [学会発表] 癌悪液質における骨格筋萎縮にCa2+透過チャネルは関与するか？ (2013)
  • 著者名/発表者名: 岩田裕子、鈴木伸之、若林繁夫
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜
  • 年月日: 20130913-20130913
• [学会発表] Prostaglandin D2 metabolites are elevated in the urine of animal models of dilated cardiomyopathy (2013)
  • 著者名/発表者名: 鎌内慎也、岩田裕子、若林繁夫
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 20130911-20130913
• [学会発表] Lipidomic analysis of heart tissues from a hamster model for dilated cardiomyopathy. (2013)
  • 著者名/発表者名: Maekawa, K., Iwata, Y., Tajima, Y., Ueno, N., Nishimaki-Mogami, T., Ishikawa, M., Murayama, M., Nakanishi, H., Ikeda, K., Arita, M., Taguchi, R., Minamino, N., Wakabayashi, S. Saito, Y.
  • 学会等名: 9th Annual Conference of the Metabolomics Society
  • 発表場所: SECC Glasgow/Scotland
  • 年月日: 20130701-20130704
• [学会発表] A metabolomic analysis of heart tissue in a hamster model for dilated cardiomyopathy using capillary electrophoresis-mass spectrometry. (2013)
  • 著者名/発表者名: Hirayama, A., Sugawara, S., Abe, H., Iwata, Y., Maekawa, K., Tomita, M., Minamino, N., Saito, Y., Wakabayashi, S., Soga, T.
  • 学会等名: 9th Annual Conference of the Metabolomics Society
  • 発表場所: SECC Glasgow/Scotland
  • 年月日: 20130701-20130704
• [備考] 心筋症・心不全発症の分子機構と病態治療法の研究
  • URL: http://www.ncvc.go.jp/res/divisions/molecular_physiology/mp_002.html