研究課題
動脈硬化症の発症・進展においては、動脈壁における慢性・持続性炎症の遷延が重要な役割を果たしている。これらの病巣ではマクロファージやリンパ球などの炎症細胞が浸潤して炎症反応の持続が確認されているが、何故炎症が遷延するのか、炎症が慢性化する分子基盤についてはまったく分かっていない。ナチュラルキラーT(NKT)細胞は免疫応答を調節するTリンパ球亜群であり、動脈壁や内臓脂肪組織に局在し、動脈硬化症やメタボリックシンドロームの発症・進展で重要な役割を果たす。本研究の目的は、動脈硬化病巣における慢性炎症の基盤となる免疫制御機構をNKT細胞に着目して検討し、動脈硬化症の発症・進展に関わる炎症遷延化の病態を包括的に理解することである。Th2優位BALB/cマウスを用いた解析では、NKT細胞は、DCなどの抗原提示細胞と協調して働き、炎症部位がIL-4優位Th2型免疫応答の場合はNKT細胞が抗原提示細胞によって刺激されるとIFN-γを分泌してTh1型免疫応答へと誘導する一方、IFN-γ優位Th1型免疫応答の場合はIL-4を分泌してTh2型免疫応答へ誘導する、NKT細胞を中心としたnegative regulationが存在することが報告されている。最近、ApoE 欠損マウスにおける抗原提示細胞に対するNKT細胞の反応性低下(アナジー)が報告された。我々は、「ApoE欠損マウスではNKT細胞がアナジーに陥っているためnegative regulationが破綻し、慢性炎症が遷延して動脈硬化が進展する」という仮説を立てた。そこでまず、BALB/c背景ApoE 欠損マウスでNKT細胞が、①アナジーに陥っているかどうか、②negative regulationが破綻しているかどうか、③最終的に慢性炎症が遷延し動脈硬化進展を促進しているかどうか検討した。
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Nephrol Dial Transplant.
巻: in press ページ: 182-188
10.1093/ndt/gfv103