研究課題/領域番号 |
23591104
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平野 勝也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80291516)
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研究分担者 |
平野 真弓 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80336031)
阿部 弘太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20588107)
小田 義直 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70291515)
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キーワード | 肺高血圧 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / トロンビン / 受容体 / モデル動物 / 受容体拮抗薬 |
研究概要 |
肺高血圧発症初期の病態に重要な役割を果たす内皮バリアー機能障害のメカニズムに関して、2年度目に確立したアデノウイルス発現系を用いて、内皮バリアー障害におけるミオシン軽鎖の1リン酸化と2リン酸化の役割を明らかにした。その結果、細胞膜直下における1リン酸化でアクチン線維束形成と透過性亢進に十分であることが明らかとなった。さらに、トロンビン刺激後のアクチン線維束形成の時間経過を観察すると、細胞膜直下に認められたアクチン線維束は、刺激後期にはストレスファイバーに再編成されることを見出した。この結果、内皮バリアー機能が障害される初期事象として、細胞膜直下のミオシン軽鎖2リン酸化とアクチン線維束形成が重要な役割を果たし、ストレスファイバー形成は刺激後期の透過性亢進の維持機構として重要な役割を果たすとする新しい知見が得られた。 トロンビン受容体拮抗薬(アトパクサー:エーザイ株式会社提供)の予防及び治療効果の検証をに引き続いて実施した。本年度においては、肺動脈壁肥厚の組織学的な改善を明らかにすることができた。2年度で認めた血行動態、右室肥大、生存率改善を合わせると、トロンビン受容体が肺高血圧の病態形成に重要な役割を果たすことが明らかとなった。また、トロンビン受容体拮抗薬は新たな肺高血圧治療薬となる可能性が高いことが明らかとなった。
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