研究課題/領域番号 |
23591107
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
池田 宏二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423871)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 血管新生 |
研究概要 |
ARIAノックアウト/GFPマウスを用いて骨髄移植を行い、骨髄のみでARIAを欠損する、あるいは骨髄以外の全身でARIAを欠損するキメラマウスを作成した。得られたマウスに下肢虚血を作成し、血流回復をレーザードップラーで経時的に解析した。その結果、骨髄のみでARIAを欠損した場合と骨髄以外の全身でARIAを欠損したマウスでは同程度に野生型マウスより高い血管新生能を示した。その効果は全身のARIA欠損マウスと比較して約半分程度であり、以上の結果から、EPCにおけるARIAと既存の血管内皮細胞におけるARIAが同程度に虚血誘導性新生血管形成を調節していると考えられた。またARIAをノックダウンしたEPC、ARIAノックアウトマウスから単離した血管内皮細胞、ARIAを安定的に発現させたCHO細胞を用いて、膜分画中のPTEN発現量を検討したところ、ARIAの発現減少により膜分画PTENも減少し、逆にARIAの発現上昇により膜分画PTENも増加することが分かった。これら結果からARIAがPTENアンカープロテインとしてPTENの膜への局在を調節していることが明らかとなった。さらにARIAノックアウトマウスにPI3K阻害剤あるいはNO合成酵素阻害剤を投与して下肢虚血を誘導し、血流の改善を検討したところ、ARIA欠損による血流改善作用はPI3K・ NO合成酵素いずれの阻害によっても完全にキャンセルされた。以上の結果からARIAは血管内皮細胞においてPTENの膜局在調節を介してPI3K/Akt/eNOSシグナルを制御し、その結果、血管新生をコントロールしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ARIAがPTENの膜局在の調節を介して血管内皮機能を調節し、血管新生を制御していることを示す実験データがおおむね当初の実験計画通りに出そろった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はARIAとPTENの様々な変異体を作成し、ARIAとPTENの結合様式をより詳細に解析する。得られたデータを元にARIAとPTENの結合モデルをコンピュータ上で作成し、その結合を阻害する低分子化合物のスクリーニングを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ARIAはその細胞内ドメインでPTENと結合することが既にわかっているので、細胞内ドメインを10塩基づつ削った変異体を作成し、免疫沈降法を用いてPTENとの結合に必須の塩基配列を決定する。さらにPTENのフォスファターゼドメインあるいはC2ドメインを欠損した変異体を作成し、ARIAとの結合に必要なドメインを決定する。これら情報を元にARIAとPTENの結合モデルをコンピュータ上で作成し、その結合を阻害する低分子化合物のスクリーニングをin sillicoで行う。
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