研究課題/領域番号 |
23591107
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
池田 宏二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423871)
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キーワード | 血管新生 / 血管内皮細胞 / PI3K / Akt |
研究概要 |
研究実績の概要(申請書の研究目的、研究実施計画に照らして600~800字で) 本研究の目的は私達が世界に先駆けて発見した新規遺伝子ARIAによる血管発生・血管新生の分子機構を解明し、また新しい血管新生治療薬となり得るARIA阻害化合物の探索を行うことである。今年度は血管内皮細胞特異的にARIAを過剰発現するトランスジェニック(TIE2-ARIA-Tg)マウスを用いて、ARIAによる血管新生調節機構を解析した。TIE2-ARIA-TgマウスではARIA-KOマウスとは逆に虚血誘導性血管新生が有意に減弱していることがわかった。これはARIAによる血管内皮機能調節が血管新生を制御していることをさらに裏付ける結果である。 さらにARIA阻害剤の探索を精力的に行った。まず、ARIAの細胞内ドメインの立体構造をコンピュータで予想し、既に報告されているPTENの立体構造を用いて、ARIA-PTEN結合モデルをコンピュータ上で作成した。さらにこの結合モデルを元に、ARIA-PTEN結合に重要な空間配置を想定し、その空間配置にはまり込む構造を有する化合物の探索をin sillicoの系で実施した。その結果、ARIA-PTEN結合を阻害する可能性のある約80ヶのヒット化合物を得ることができた。ARIA-PTEN結合阻害作用をスクリーニングする系としてmKGシステムを用いた系を構築した。蛍光分子であるmKGのN端、C端をARIA, PTENのC端、N端に結合し、これら蛋白をCHO細胞に発現させた。ARIAとPTENが結合するとmKG-N端、mKG-C端の分子間距離が近づきmKGが再構築して蛍光を発する。一方、化合物によりARIAとPTENの結合が阻害されると蛍光を発しない筈である。来年度は本スクリーニング系を用いて、ヒット化合物が実際にARIA-PTEN阻害作用を有するか、検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ARIAによる血管新生制御機構のメカニズムの研究はほぼ計画通りに進んでおり、かなり詳細な分子機構を明らかとすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はARIA阻害剤の探索を中心に研究を進める。これまでの研究成果で得られた情報を元にヒット化合物を購入して、そのARIA阻害作用をin vitro, in vivoの系で確認していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主にARIA阻害ヒット化合物の購入に使用する予定である。一部、細胞培養実験のための試薬購入にも使用する。
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