研究課題/領域番号 |
23591119
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小林 和幸 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命講師 (50403275)
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研究分担者 |
西村 善博 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20291453)
小谷 義一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90403287)
船田 泰弘 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (60437465)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / スフィンゴシン / マウス |
研究概要 |
OVA(卵白アルブミン)の腹腔注射による感作、OVA吸入喘息モデルマウスを作製した。マウス喘息モデルの気道上皮細胞にSPHK(Sphingosine kinase)の発現がみられ、二重染色で粘液の主成分であるMUC5ACとSPHKの発現の共在を認めた。 次に喘息モデルマウスに対する非選択的S1P阻害薬のDMSとS1P1受容体拮抗薬であるFTY-720の投与効果について検討した。BALB/cマウスをOVAで感作し、OVA吸入群と非吸入群にわけ、それぞれの群に薬剤(DMS、FTY-720)を腹腔内投与した群と、エアロゾル化し吸入させた群にわけ、比較した。DMSやFTY-720の投与で、好酸球数の減少やEPOの低下がみられた。DMS投与群のEPO活性を喘息マウスと比較した時、DMS腹注群は44.9±19.1%、DMS吸入群は47.6±28.8%であった。FTY-720投与群のEPO活性を喘息マウスと比較した時、FTY-720腹注群は56.5±32.5%、FTY-720吸入群は61.0±11.0%であった。DMSやFTY-720は、喘息における好酸球の気道への遊走を抑制している可能性が示唆された。 好酸球遊走について、好酸球の選択的浸潤に関与したり、気道炎症の中心的な役割を果たしたりすると考えられているサイトカインであるIL-4やIL-13の肺胞洗浄液中の濃度も、DMSやFTY-720の投与により低下がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験開始前から予想していた結果を得ており、実験はおおむね順調に進展していると考える。S1Pの各受容体を後天的にsiRNAの手法を用いてノックダウンすることで、各受容体の活性化の違いによって、気管支喘息の表現型が変化することを証明する実験計画を組んでいたが、siRNAの経鼻投与で十分なノックダウンができていないため、siRNAの投与方法について検討しないといけないため、今後の実験が遅れる可能性はある。
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今後の研究の推進方策 |
DMSやFTY-720は、喘息における好酸球の気道への遊走を抑制していることが示されたので、その結果が、肺組織や気道過敏性に反映されているかを検証する。マウス肺組織のパラフィン切片を作成し、HE染色ならびにPAS染色を行い、気道への炎症細胞浸潤の程度、PAS陽性の粘液産生goblet細胞数の増多の程度を評価する。Massaon-Tricrome染色により気道線維化の評価を行う。また、メサコリン吸入による気道抵抗、気道過敏性につての評価を加える。血管内皮に発現するS1P受容体にも着目し、気管支喘息の急性期における炎症細胞の血管透過性について、Evans Blueを尾静脈より投与し、血清とBAL液の吸光度で評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの喘息表現型解析のためのサイトカイン測定用のELISAやフローサイトメトリーの試薬やSiRNAの導入に使用する導入キットなども複数検討する必要がありそうなので、費用が掛かることが予想される。マウスの飼育、維持費も計上している。当該年度に計上した研究費のうち、前述のごとくSiRNA導入実験において、経鼻投与では十分にノックダウンがかからず、ノックダウンマウスの表現型解析に計上していたELISAキット等の費用が繰り越しになったため、次年度にSiRNA導入が順調に進んだのち、表現型解析の費用として併せて使用する予定である。
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