研究課題/領域番号 |
23591128
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
東本 有司 近畿大学, 医学部, 准教授 (70316115)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | COPD / 呼吸困難 / 脳活動 / 前頭前野領域 / 近赤外線分光法 / 運動負荷 |
研究概要 |
慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)において,労作時呼吸困難は活動制限となる主な症状となっている.しかし,COPD患者の労作時呼吸困難と脳皮質活動の関係についてはほとんど解明されていない.そこで、本年度ではCOPD患者における労作時呼吸困難に関連した脳皮質活動を観察することとした.対象はCOPD患者10名と年齢をマッチさせたコントロール10名.最大運動負荷の40%で定常運動負荷を10分間施行し,呼吸困難は1分毎にBorg scaleを用いて聴取し,同時に呼気ガス分析,経皮酸素飽和度,血圧測定も行った.脳皮質活動は光トポグラフィ(ETG-7100)を用いて計測した.前頭前野領域に1つ,左右頭頂部に2つの測定プローブを装着し,脳皮質の酸素化ヘモグロビンoxyhemoglobin(OxyHb),還元ヘモグロビン deoxyhemoglobin (deoxy-Hb), ならびに総ヘモグロビンtotal hemoglobin (total Hb)濃度の変化を計測した.COPD群、コントロール群ともに定常運動負荷時に前頭前野領域プローブでOxyHb濃度が増加したが,頭頂部では増加しなかった.OxyHb濃度変化はCOPD群とコントロール群の間に有意差はなかった.両群とも、労作時呼吸困難は前頭前野領域プローブOxyHb濃度変化と有意に相関した.以上のことからCOPD患者の労作時呼吸困難は前頭前野領域の脳皮質活動と関連があることが示唆された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象の症例数が予定よりも少なくなり多変量解析はできない状態であるが、呼吸困難と脳活動との関連はけんていできたので、ほぼ本年度の計画は進展したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.本年度購入したウエラブル光トポグラフィーにてより日常生活に近い状態での脳活動の変化をとらえること。2.気管支拡張薬使用後やリハビリテーション施行後の呼吸困難改善度と脳活動の変化を計測する
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次年度の研究費の使用計画 |
対象:COPD患者20名を対象とする。クライテリアは前述の通りであるが、COPDによりQOLが低下していて、呼吸リハビリテーションの適応がある患者に限定する。方法:1. 運動負荷:定常運動負荷、NIRS 計測、呼気ガス分析は前年度と同様の方法で施行する。ただ、患者負担を軽減するため、平成22 年度で同定した労作時呼吸困難ならびに下肢疲労感と最も関連する領域(ROI)を含むプローブのみを装着する。2. 運動負荷前気管支拡張薬の効果の検討:まず、前年度と同様に定常運動負荷を施行し、終了後10 分後に塩酸プロカテロール20g を吸入させる。さらに、10 分後に再度定常運動負荷を施行する。3. 呼吸リハビリテーションの効果の検討:12 週間のプロトコールで呼吸リハビリテーションを行う。リハビリテーションの前後で定常運動負荷を施行し、労作時呼吸困難及び下肢疲労感と脳活動の変化を比較する。
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