研究課題
1.研究開始当初の背景労作時呼吸困難は慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者における主な運動制限因子となっている。しかし、COPD患者における労作時呼吸困難に関連する脳領域に関しては十分分かっていない。2.研究の目的(1)COPD患者における労作時呼吸困難に関連する脳領域を同定する。(2)運動時低酸素をきたすCOPD患者における脳皮質酸素濃度変化と酸素療法による改善を検討する3.研究の方法(1)COPD患者と年齢マッチさせたコントロール患者に対して、運動負荷を実施しした。脳活動は光トポグラフィ装置で脳皮質活動を経時的に計測した。同時に呼吸困難感を修正Borgスケールにて計測し、SpO2、呼気ガス分析、血圧を測定した。NIRS装置は、近赤外線散乱光の吸光度の違いにより脳皮質の酸素化ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb)、還元型ヘモグロビン濃度(deoxy-Hb)、及び総ヘモグロビン(total-Hb)濃度の変化を経時的に測定することができる。Oxy-Hb濃度の増加すると脳活動活性化していると考えられている。(2)運動負荷前に低酸素血症をきたすCOPD患者と低酸素血症をきたさないCOPD患者に運動負荷を実施し、脳皮質oxy-Hb濃度変化を測定する。また、酸素療法をした場合のoxy-Hb濃度の改善について検討した。4.研究成果 (1)COPD患者とコントロール患者ともに運動時に脳皮質oxy-Hb濃度が増加したが、頭頂側頭葉では増加しなかった。 COPD患者の前頭葉oxy-Hb濃度の変化はコントロール患者と差がなかった。両群ともに労作時呼吸困難は前頭葉領域のoxy-Hb濃度増加と相関していた。COPDの労作時呼吸困難は前頭葉領域脳皮質活動と関連していた。(2)運動時低酸素血症をきたすCOPD患者では、脳皮質においても酸素濃度が低下しており、酸素投与により改善した。
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Archives of disease in childhood Fetal and neonatal edition
巻: 98 ページ: F244-248
カレントテラピー
巻: 31 ページ: 513-517