研究課題/領域番号 |
23591131
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
品川 尚文 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20431372)
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研究分担者 |
石田 卓 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (60322343)
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キーワード | 非閉塞性肺疾患癌 |
研究概要 |
2006年から2010年に当院で気管支鏡検査を行い非小細胞肺癌(NSCLC)の診断がなされ、切除術が施行された159例を対象として解析したデータを元に後ろ向きの解析を行った。125例で経気管支生検、117例で気管支擦過細胞診、5 例で経気管支針生検による診断が行われた。気管支鏡検体にて扁平上皮癌(Sq)と診断された37例のうち,術後Sqと診断されたものが34例、Sq以外のNSCLCが2例,小細胞癌(Sm)が1例であった。一方、気管支鏡でSqとは診断されなかったNSCLC(non-Sq)122例のうち、術後Sq以外のNSCLCであったものが112例、Sq9例、Sm1例であった。Non-Sqの肺癌が、気管支鏡でSqと診断されない感度(Sqと診断されることの特異度)は97.4%であった。またSqが気管支鏡でSqと診断される感度(Sqと診断されないことの特異度)は79.1%であった。 以上のデータをまとめ論文報告する予定であったが、異なる気管支鏡手技が混在していることで、メッセージ性に乏しいと判断した。そこで気管支鏡手技を気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)に絞り、新たにデータの抽出を行った。また非小細胞肺癌と気管支鏡で診断されて、手術となった症例の中に最終的に小細胞肺癌と診断された症例が存在するために、対象を原発性肺癌とすることとした。 新たな対象は2003年から2011年に当院でEBUS-GS法にて肺癌と診断された203例。EBUS-GSでSqと診断された40例のうち、37例(93%)が手術でSqと診断された。一方、EBUS-GSでnon-Sq(SqとSmを除いたもの)と診断された159例中、術後Non-Sqであったのが 151例(95%)、Sq6例、Sm2例であった。免疫染色は全部で48例に行われ、頻度しては、TTF-1が最も多く37例(18%)に施行された。 以上の内容を現在、論文として投稿中である。一方、気管支鏡検体を用いて、microRNAによる判別が可能か検討を行う予定であるが、安定した結果が得られずにデータの収集が進んでいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ホルマリン固定された検体からのRNAの採取が困難。新たに採取した気管支鏡検体からのRNAの抽出のための検体保存などが難しい。これまでの検体を用いた検討も、気管支鏡検体の新たな切り出しや、手術検体の新たな切り出しを行うと気管支鏡での生検検体が微小検体であり、腫瘍組織が採取された検体の一部にしかない場合もあり、新たな切り出しが困難な場合も珍しくはない。方法の見直しに時間を要している。昨年度内は方法の確立ができずに、今回研究費の使用延長をお願いした。
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今後の研究の推進方策 |
気管支鏡検体を採取することと同時に、RNAを保存するための検体処理を進める必要があり、検査手技、検体採取方法の見直しが必要。また検体保存に適したbuffer、RNAの測定方法についても安定した結果が得られるよう、詳しい先生方に手技を見直してもらい問題点を確認する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの進捗状況は予定より大幅に遅れている。昨年度中に気管支鏡検体からRNAを安定して抽出する方法が確立できなかったことで、研究が思うように進まなかった。今年度に研究費使用を延長申請した。 昨年度に引き続き気管支鏡検体を用いてRNA抽出をする予定である。他に免疫染色関連の物品を購入する可能性もあるが、当初の予定の範囲である。
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